2011 Fiscal Year Annual Research Report
サリドマイド及びその誘導体が関与する情報伝達系の解析
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21790107
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷内出 友美 東京大学, 分子細胞生物研究所, 技術職員 (20401284)
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Keywords | サリドマイド / 肝臓X受容体 / エストロゲン受容体 / ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体 / α-グルコシダーゼ / グリコーゲンホスホリラーゼ / 糖尿病 / 構造活性相関 |
Research Abstract |
サリドマイドおよび代謝物の薬理作用に関わる諸要因の現象的・分子作用レベル的解析、同生物作用を指標とした医薬化学的な構造展開研究・構造活性相関解析、ならびに創製し薬理活性が認められたサリドマイド誘導体の各現象に関わる情報伝達系の解析を遂行した。本年度は特に糖尿病およびメタボリックシンドロームを対象疾患として選択し、研究を展開した。 具体的には、 (1)抗糖尿病および抗メタボリックシンドローム活性を有するサリドマイド及びその代謝物、誘導体の薬理活性に関わる情報伝達系の解析[グリコーゲンホスホリラーゼ、ナトリウム依存性グルコース共輸送体(SGLT)への影響] (2)サリドマイド関連化合物の構造展開に基づく核内受容体リガンドの創製[肝臓X受容体(LXR)、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR)、エストロゲン受容体(ER)リガンドの創製]、構造展開、構造活性相関研究ならびに解析 (3)α-グルコシダーゼ阻害活性、LXRアンタゴニスト活性およびグリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性を有するサリドマイド誘導体における活性の作用分離 などを遂行し、サリドマイドの有効性・有用性に対する細胞生物学的・分子作用機構的な理解を進歩させることが出来た。また各種構造展開研究の遂行により、サリドマイドがマルチ創薬テンプレート(ケミカルジェネティクス、ひいては創薬のリード探索に有用な化合物群あるいはハイクオリティーなケミカルライブラリーの創製手法の一つ)として有用であることを実証できたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サリドマイドの有効性・有用性に対する細胞生物学的・分子作用機構的な理解を進歩させることが出来ただけでなく、各種構造展開研究の遂行によりサリドマイド派生化合物群という新たな医薬リードカテゴリーが発信できたと考えている。以上より本年度も研究が順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
未だに欠如しているサリドマイドおよび関連化合物の分子作用機序の理解を、具体的にはプロテインノックダウン法を用いてそれらを明らかにする。 また、対象疾患を本年度設定した糖尿病およびメタボリックシンドローム以外(具体的にはサリドマイドの有する他の薬理作用に関連する疾患、例えばがん細胞浸潤阻害作用であれば抗がん活性を有する化合物の創製。)にも拡張し、サリドマイドをマルチ創薬テンプレートとした創薬手法に基づいた構造展開研究を引き続き遂行する。
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Research Products
(4 results)