2010 Fiscal Year Annual Research Report
肝内胆汁酸イメージングによるBSEP内在化に起因する薬剤性肝障害の解明
Project/Area Number |
21790141
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
関根 秀一 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (70401007)
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Keywords | 薬学 / 薬剤反応生 / 蛋白質 / 放射線 |
Research Abstract |
肝臓の毛細胆管側膜に発現するBSEP (Bile salt export pump)は胆汁酸を濃縮的に胆汁中に排泄することで胆汁流の生成に寄与している。BSEPの阻害は、毒性の高い胆汁酸が肝細胞内に蓄積することで肝障害が惹起されるため、医薬品候補化合物のBSEP阻害能を評価するためのスクリーニング系が構築されている。しかし、既存の評価系では、輸送体の局在性の低下や代謝物が毒性の要因の場合にはその影響を評価し難い。そこで本研究では、ラット、ヒト遊離肝細胞を用いた、新たなBSEP機能評価系の構築を目的として、薬剤性肝障害を起こす薬物について、BSEPの局在性と輸送機能への影響の検討を行った。前年度において構築したBSEP-GFP発現MCARh7777細胞株において、Molecular Probe社の協力のもとハイコンテントスクリーニングを用いて、肝障害を誘発することが既知の化合物(25化合物)について、評価を行った結果、CyclosporinAに加えて胆汁うっ滞型肝障害を惹起する9化合物において、BSEPの内在化を引き起こす事が新たに明らかとなり、BSEP内在化という新規阻害機序により肝障害が惹起される可能性が明らかとなった。更に、ラット肝臓より単離したSandwich培養肝細胞において、胆汁酸の蓄積に依存した肝毒性を評価するためのスクリーニング系の構築を行い(特許出願準備中)、前検討において内在化を惹起する化合物において検討を追加した結果、胆汁酸の蓄積に依存した肝障害の増悪が確認され、内在化に伴う胆汁酸の蓄積が、肝障害の増悪因子となることが本研究の遂行により明らかとなった。
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