2009 Fiscal Year Annual Research Report
胃底腺壁細胞における胃酸分泌反復機構の解明をめざした細胞膜動態研究
Project/Area Number |
21790185
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
澤口 朗 University of Miyazaki, 医学部, 准教授 (30336292)
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Keywords | 高圧凍結技法 / 胃底腺 / 単離胃粘膜 / 超微形態 / 壁細胞 / 回復期 / プロトンポンプ |
Research Abstract |
胃粘膜攻撃因子とされる胃酸や消化酵素の分泌機構に関する研究は、胃粘膜傷害の治療や予防に繋がる重要な課題である。胃酸分泌に与る胃底腺壁細胞は空腹時の胃酸分泌休止期には胃酸分泌を担うプロトンポンプを有する細管小胞が細胞内に貯留する形態を示す一方、摂食刺激を受けると細管小胞膜が頂上膜と融合してプロトンポンプの局在が頂上膜へ移行することが知られている。しかし、活動期を終えて次の摂食刺激に備えて休止期へ移行する過程での細胞膜動態やプロトンポンプの局在変化に関しては、胃酸分泌後復帰過程を再現する実験モデルが未確立であったため不明な点が多く残されている。本研究は独自に開発したラット単離胃粘膜実験モデルの応用研究によって新規確立された胃酸分泌後復帰過程を再現する実験モデルをもとに、摂食後の胃酸分泌活動期から次の食餌に備えて休止期に戻る際にプロトンポンプがどのようにして再配備されるかという未解明かつ重要な医学・生物学的研究課題に取り組むものである。 今年度、独自に開発したラット単離胃粘膜「酸分泌後復帰過程」実験モデルをもとに詳細な超微形態観察と免疫組織化学的検索を実施した結果、酸分泌後復帰過程にある壁細胞にはオ-トファゴソーム形成に与るLC3陽性の多重膜構造が数多く観察されたことから、プロトンポンプの回収・処理にオートファジーが関与することが示唆された。また復帰過程の進行に伴う細胞膜動態の定量化を目的とした画像解析を実施した結果、活動期から休止期に移行するにつれて頂上膜が著減する一方、細胞内には取り込んだ頂上膜を処理するエンドソーム/ライソゾームやMultivesicular bodyが増加し、次の酸分泌に備えたプロトンポンプを有する細管小胞が貯留する経過が定量的に明らかとなった。
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