2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790235
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
栗山 健一 National Center of Neurology and Psychiatry, 精神保健研究所成人精神保健部, 室長 (00415580)
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Keywords | 睡眠・覚醒 / 記憶 / 学習 / 神経機能画像 / 神経生理 |
Research Abstract |
研究結果の有用性を向上させるために、fMRI・EEG同時計測装置の改良を行い、計測データの精度向上を得た。健康被験者を対象に昼間睡眠(Nap)がWM強化に与える行動特性面および背景脳活動への影響を検討中である。 さらに、行動データ解析中に、新たにWM学習における個人差に強く課題学習時の自己覚醒能力差が影響していることをつきとめ、これに関わる脳活動との関連に関しても検討した。 ヒトは睡眠中の眠気にあらがい、望ましい時刻に自己覚醒する能力を持っているが、これは睡眠中に限らず、覚醒中の眠気においても同様の自己覚醒能力を発揮する。認知課題遂行中の眠気にあらがい、適切に課題を遂行する能力には個人差が認められ、この能力差が学習達成度に強く影響している。さらに、前頭前野の背外側部がこの個人能力差を反映しており、WM課題のような難易度の高い課題においては前頭前野背外側部の活動が高まるほど、課題中の覚醒度が高まり、課題成績が向上する。他方で、難易度の低い課題においては、前頭前野背外側部の活動が高まるほど課題中の覚醒度は低下し、課題低下する。つまり前頭前野背外側部の活動が課題荷量に応じ適切に脳をコントロールし、課題遂行を促進させるになっていることが明らかとなり、これに関する論文を英文科学誌に投稿中である。 本研究成果は、学習に関連した新たな個人能力の発見であり、この能力を向上させることが学習能力の向上及び、交代制勤務従事者等における、労働中の眠気への対処が強く求められる労働者のヒューマンエラーを減じ、作業効率を促進させる重要な要素であり、労働環境の改善以外の重要な対応策を生み出す可能性も示唆される。
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Research Products
(4 results)