2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790235
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
栗山 健一 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 成人精神保健研究部, 室長 (00415580)
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Keywords | 睡眠・覚醒 / 記憶 / 学習 / 神経機能画像 / 神経生理 |
Research Abstract |
fMRI・EEG同時計測装置の改良および、研究データを蓄積している。健康被験者を対象に昼間睡眠(Nap)が作働記憶強化に与える行動特性および背景脳活動への影響を検討中である。 昨年度に告した、作働記憶学習における個人差に日強く課題学習時の自己覚醒能力差の影響と、これに関わる脳活動に関する報告を国際科学誌に報告した。 さらに、作働記憶学習の向上に関わる睡眠中、および覚醒時の脳の可朔性に関して新たな知見を得た。作働記憶学習はヒトの高次学習における重要な要素であるが、これまで知られている単純な手続き記憶および陳述記憶学習における性質とは大きく異なる基本的性質を持っていることが明らかになった。前述の手続き記憶や陳述記憶学習には主に睡眠中の神経学的な信号伝達強化過程が関与していことが明らかにされているが、作働記憶学習においてはこれに加え、覚醒中にも記憶強化の予備能を持っており、これがN-methyl-D-aspartate(NMDA)グルタミン酸レセプター作動薬により促進・顕在化され、より学習効果か高まり能力向上が得られることが分かった。これは、我々の長期目標である、ヒトの高次機能強化方法の開発を達成する上で極めて大きなインパクトを与る。この結果は現在、国際科学誌に投稿中である。 一連の成果は、本課題の主目標である睡眠中の作働記憶容量強化メカニズムに関する知見の重要な要素であり、これらの蓄積により、科学的進歩が得られるのみならず、ヒトの高次能力のさらなる向上および、高次機能障害を負っている患者の認知リハビリテーションの有効性を高める可能性が示唆される。
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Research Products
(9 results)