2009 Fiscal Year Annual Research Report
代謝センサー分子AMPKに着目した統合失調症治療薬誘発エネルギー代謝異常発現機序
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21790255
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
山内 淳史 Fukuoka University, 薬学部, 准教授 (90341453)
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Keywords | 抗精神病薬 / 副作用 / 代謝異常 / AMPK / GLUT |
Research Abstract |
統合失調症治療の中心は非定型抗精神病薬へとシフトしている。治療の成否は頻発するエネルギー代謝異常(食欲増進・肥満・糖尿病・脂質異常症など)の管理が鍵となる。その発現機序については様々な報告があるが、発症の核となる機構は明らかではない。本研究では、エネルギー代謝センサー分子AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)に着目し、血液脳関門におけるAMPK活性化逆転モデルを提唱し、抗精神病薬による代謝性副作用発現機序の全体像を明らかにすることを目的とする。 本年度の成果は以下のとおりである。 1. 雌性ラットへのオランザピン2mg/kgの2週間投与により、有意な体重増加、摂食量増加が認められた。この時の視床下部リン酸化AMPK量は有意に増加していた。また肝臓、骨格筋でのAMPK活性は低下していた。 2. 脂肪細胞3T3-L1に対するオランザピン処理により、インスリン非依存性(GLUT1)のグルコース取り込み量が低下した。GLUT1 mRNA量、タンパク量には変化はなかった。オランザピンは細胞内ATP量を増加させており、これによりAMPK活性低下さらにはGLUT1機能低下が惹起されている可能性がある。 3. 肝細胞HepG2のグリコーゲン代謝に対して、オランザピンは分解促進作用を有することが分かった。 以上、オランザピンの体重・摂食量増加には視床下部でのAMPK活性上昇が関与していることが示唆された。一方末梢ではAMPK活性低下を惹起しており、血中グルコース濃度上昇の成因となる可能性がある。
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Research Products
(3 results)