2010 Fiscal Year Annual Research Report
代謝センサー分子AMPKに着目した統合失調症治療薬誘発エネルギー代謝異常発現機序
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21790255
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
山内 淳史 福岡大学, 薬学部, 准教授 (90341453)
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Keywords | 抗精神病薬 / 副作用 / 代謝異常 / AMPK / GLUT |
Research Abstract |
統合失調症治療の中心は非定型抗精神病薬へとシフトしている。治療の成否は頻発するエネルギー代謝異常(食欲増進・肥満・糖尿病・脂質異常症など)の管理が鍵となる。その発現機序については様々な報告があるが、発症の核となる機構は明らかではない。本研究では、エネルギー代謝センサー分子AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)に着目し、血液脳関門におけるAMPK活性化逆転モデルを提唱し、抗精神病薬による代謝性副作用発現機序の全体像を明らかにすることを目的とする。 本年度の成果は以下のとおりである。 1.マウス視床下部細胞GT1-7に対するオランザピン処理により、リン酸化AMPK量、ACC量の上昇が認められた。これは昨年度のラットでのin vivoの成果を支持するものである。またこのとき摂食亢進神経ペプチAGRP、NPYのmRNA発現量が増加し、摂食抑制神経ペプチドPOMC、MC4RのmRNA量は減少していた。2.肝HepG2細胞に対するオランザピン処理により、細胞内脂質蓄積が惹起された。この時のリン酸化AMPK量は減少し、さらに脂質合成酵素の転写因子であるSREBPのタンパク質量が増加していた。 以上、オランザピンの体重・摂食量増加には視床下部でのAMPK活性上昇が関与しており、摂食関連神経ペプチドの発現量バランスが摂食亢進側へ傾いている可能性が示唆された。また、オランザピンは脂質蓄積作用を有しており、これにはAMPK活性低下およびSREBP量増加が関与していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)