2009 Fiscal Year Annual Research Report
ディーゼル排気微粒子の経気道投与による生殖毒性発現の分子機構と食品成分による改善
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21790554
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
井澤 弘美 Aomori University of Health and Welfare, 健康科学部, 講師 (20315534)
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Keywords | ディーゼル排気微粒子 / 精子 / 気管内投与 / 形態異常精子 / 一日精子産生量 / 精巣 / 精巣上体 |
Research Abstract |
C57BL雄性マウスに、吸入麻酔下で0.005、0.05および0.5mg/mlの濃度に調製したディーゼル排気微粒子(DEP)懸濁液0.05mlを2回/週ずつ6週にわたって気管内投与した。vehicle群には0.05% Tween20含有生理食塩水を用いた。最終投与1週間後に精巣上体の精子を調べたところ、0.05および0.5mg/ml DEP投与群の精巣上体中の精子数が、vehicle群と比較して有意に低値を示した。 大気汚染物質である浮遊粒子状物質のすべてをDEPと仮定した場合、0.05mg/ml DEP投与群のマウスは、日本の大気環境基準の100倍汚染された環境下で成育しているのと同じ量のDEPを呼吸器から取り込んでいることになる。この環境条件は、急発展している東アジア諸国において日常的であると考えられ、なおかつ現在の日本でも起こりえる。本実験は、このような大気環境で生活することで精子の減少が引き起こることを示唆している。 今後、他の精子産生能の指標(一日精子産生量、形態異常精子数など)や性腺ホルモンを調べて、この毒性発現の詳細な解析を行う。加えて、毒性を軽減する効果が期待できるケルセチンを摂取させたマウスにDEPを気管内投与させて、精子数の減少等の雄性生殖機能の低下が軽減されるかどうかを調べ、環境汚染物質の毒性に対する食品成分による軽減効果を実証する予定である。
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