2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト両心房モデル構築を基盤とした慢性心房細動とその治療に関するインシリコ研究
Project/Area Number |
21790717
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
芦原 貴司 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (80396259)
|
Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 分子心臓病学 / 不整脈学 |
Research Abstract |
平成24年度の研究実績は以下の通りである.本研究の進展に伴って,一部,計画の方向性を修正している部分も含まれる. 1) 3次元ヒト両心房モデルの開発(継続):平成23年度までに開発・改良を重ねてきた2~3次元のヒト心房筋モデルを,平成24年度はさらに発展させた.それを用いて,心房細動(AF)の慢性化メカニズムおよびAF発生基質の電位的指標であるCFAEと呼ばれる複雑な心内電位波形の形成,ならびにそのCFAEを標的としたアブレーションの有用性とその治療メカニズムなどを明らかにした.また,ヒト心房筋モデルの3次元化そのものよりも,心房筋層の厚みや線維走向,さらにはコラーゲン沈着の影響といった要素の重要性が高いと判明したため,そのような解剖学的・病理学的な構造変化を組み入れることを優先した. 2) CFAE標的アブレーションの最適戦略に関する検討:上述のように,これまでに開発したヒト心房筋モデルを用いたコンピュータシミュレーションにより,従来考えられたコラーゲン沈着よりも,線維芽細胞の増生の方が,心房細動の慢性化のみならずCFAE形成と密接に関わることを見出した.ただし,線維芽細胞の増生にコラーゲン沈着が加わることで,心房細動の持続性はそれほど変わらないものの,CFAE波形がより複雑となる傾向のあることが分かった.さらに,そのようなCFAEを標的に心筋をアブレーション(焼灼)する場合,焼灼点間には至適距離があること,焼灼点の分布様式によってはかえってリエントリーが持続し,AFが心房頻拍に移行しやすくなることが分かった.シミュレーション結果は,すべてコンピュータグラフィックスで可視化した.本研究結果は,今後の慢性心房細動に対するCFAE標的アブレーションの最適戦略を考える上で,理論的根拠となるものである.本研究に関連した成果により,日本生体医工学会の最高賞にあたる荻野賞を受賞した.
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(40 results)