2010 Fiscal Year Annual Research Report
制御性樹状細胞の大量培養を用いた新たな造血幹細胞移植の開発
Project/Area Number |
21790973
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Research Institution | 国立病院機構金沢医療センター |
Principal Investigator |
前馬 秀昭 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部), 小児科医師 (10419335)
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Keywords | GVHD / 制御性樹状細胞 / PUVA療法 / 造血幹細胞移植 |
Research Abstract |
造血幹細胞移植は、難治性の白血病や悪性リンパ腫や先天性免疫不全に対する根治的治療法である。しかし、その合併症である移植片対宿主病(GVHD)が移植成績を左右する。GVHDの治療法は、各種免疫抑制剤の投与がなされているが、十分な治療効果は認めていない。我々は、骨髄細胞にGM-CSFを添加し培養を行い大量の未熟樹状細胞を培養した後、psoralenと紫外線を併用し(いわゆるPUVA療法の応用)、制御性樹状細胞へと簡易に形質転換させることに成功した。このPUVA処理した樹状細胞(以下PUVA-DCと略す)がどのようなメカニズムで抑制性の作用を示すのか検討した。抗炎症性サイトカイン(IL-10およびTGF-β)が関与するか、PUVA-DCを加えた混合リンパ球反応(以下MLRと略す)に対し、抗IL-10抗体および抗TGF-β抗体を加えて反応をみた。各々の抗体を加えてもMLRは抑制を示し、抑制性の機序は抗炎症性サイトカインの働きによるものではなかった。Transwellを用いて、PUVA-DC接触群および非接触群にわけMLRを施行した。接触群においてのみ抑制したため、機序は細胞間接触によるものと考えた。トリプトファン代謝によって細胞増殖を抑えるidoleamin 2,3-dioxygenaseの発現を定量PCR法にて比較した。PUVA-DCは、骨髄由来樹状細胞に比べ、5倍以上発現し、抑制作用の重要な機序と考えた。In vitroでは、PUVA-DC(ドナータイプ、ホストタイプ、サードパーティー由来)をMLRに加えたところ、全てに抑制作用を示した。これまでの報告にあった制御性樹状細胞にはMHC拘束性が存在していたが、PUVA-DCにおいては、MHC非拘束性に抑制性機能を有することが判明した。本研究から、この細胞群を用いたヒトへの臨床応用はMHC非拘束性に抑制性の作用を示し、GVHDのみならず多種の自己免疫疾患にも応用が可能であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)