2010 Fiscal Year Annual Research Report
インターロイキン17Eの糸球体上皮細胞シグナル伝達障害による蛋白尿発症機序の解明
Project/Area Number |
21790998
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
此元 隆雄 宮崎大学, 医学部, 助教 (80315366)
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Keywords | ポドサイト / シグナル伝達 / IL17E(IL25) |
Research Abstract |
糸球体糸球体上皮細胞(ポドサイト)の足突起はスリット膜を形成し血液ろ過の最終バリアーとして働いている。スリット膜蛋白は複合体を形成しサイズバリアーを形成するほか、シグナル伝達複合体として機能し、細胞内で多くのシグナル分子と結合することでポドサイトの形態、分化、生存などのさまざまな機能を修飾している。スリット膜複合体の分子生物学的検討から蛋白尿の発症機序を解明できれば、特発性ネフローゼ症候群など蛋白尿をきたす腎疾患の新たな治療法の開発につながると考えている。われわれはネフローゼ症候群がアレルギー疾患とくに喘息との合併が多い事から、IL17ファミリーのうち喘息との関連が指摘されているIL17E(IL25)に着目して検討を進めている。 これまでの検討で、蛍光抗体法およびWesternblot、RT-PCRによってポドサイトIL17E(IL25)のレセプターであるIL17RBが存在することを確認した。また、ポドサイトにIL17E(IL25)を直接投与すると、ERK,P38MAPKのリン酸化が起こり活性化される事を確認した。一方で、Nephrin-GFP融合蛋白を強制発現したポドサイトを作成し、現在この細胞株を用いて形態変化やNephrinの細胞内存在部位の変化について検討を行っている。まず、MCNS患者血清の直接投与によって細胞の萎縮が起こることを確認した。今後は足突起の状態を確認するために電子顕微鏡での観察を予定している。また、患者血清中のIL17E(IL25)の濃度をELISAやWesternblotで確認し、ブロッキング抗体を用いた阻害実験を行う予定である。さらに、IL17E(IL25)の直接投与によるNephrinのリン酸化やシグナル伝達について詳細に検討を進める予定である。
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