2009 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌肝外転移に対する免疫細胞治療の有効性と安全性の評価
Project/Area Number |
21791269
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
有田 淳一 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20463838)
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Keywords | 肝細胞癌 / 免疫細胞療法 / 遠隔転移 |
Research Abstract |
肝細胞癌の肝外転移を有する患者は、従来は生命予後不良で、明瞭な有効性を有する治療が存在しなかった。活性化自己γδT細胞療法は、癌免疫において重要な役割を果たしているγδT細胞を、患者より採取した血液中から採取、培養し、再び患者体内に注入するものである。本治療法は、他分野の癌に対する有効性と安全性が実証されつつあり、肝細胞癌肝外転移患者に対しても生命予後が改善する可能性が期待されている。本研究の目的は、肝細胞癌肝外転移を有する患者に活性化自己γδT細胞免疫療法を実施し、有効性と安全性を評価・検討することである。主評価項目は無増悪生存期間、副評価項目は全生存期間、腫瘍縮小効果、生存率、腫瘍マーカー抑制効果、免疫学的反応性である。平成21、22年度は対象患者のエントリーを10例予定していたが、現時点での切除不能肝細胞癌に対する標準治療と考えられるソラフェニブが市販されたために各々わずか2例(うち1例は細胞培養が不十分で実施中止)のエントリーとなった。しかし、数は少ないながらも研究の実施により、実務の十分、不十分な点が認識でき、今後の実施には大きな意味を持った。また、この経験をもとに学会での発表を行い、他の専門家と討議する中で今後の注意点、着目点が浮かび上がった。治療効果の判定基準としてある程度観察時間を要する無増悪生存期間を用いているが、短い観察期間で腫瘍の縮小効果(RECIST)を評価することで、これまで切除不能とされてきた肝細胞癌肝外転移に対する切除治療を施す可能性も確立できる。従来確立された治療法がなかった肝細胞癌肝外転移患者に対する標準治療と出来る可能性があり、ひいては我が国の肝細胞癌患者全体の予後を向上させうる。
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