2010 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入メカニズムの解明とその臨床応用への新展開
Project/Area Number |
21791298
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
江上 拓哉 九州大学, 大学院・医学研究院, 共同研究員 (40507787)
|
Keywords | 膵癌 / ウイルス治療 |
Research Abstract |
膵臓癌は手術療法が長期予後を得る唯一の方法とされるが局所進展や遠隔転移のため手術可能な症例は少ない。従来の治療法である化学・放射線治療は近年改善されつつあるが化学・放射線療法の効果は依然として低く、膵臓癌は極めて予後不良である。従って新たな膵癌治療戦略が必要とされておりウイルス治療が期待されている。本研究の目的は抗癌剤や癌間質相互作用がウイルス治療に及ぼす髭響とウイルス治療を増強するメカニズムを検討することである。我々はこれまで、アデノウイルスを用いたウイルス治療が放射線治療(Clin Can Res,2008,Egami)やgemcitabine(Onimaru,Can Gene Ther,2010)5FU、CDDP、Etoposide (Egami,Can Sci,2009)といった化学療法と併用することで導入効率が増強することを示した。アデノウイルス治療は導入効率が不良であることが障害とあるため、本年度以下の2点について検討した。1.間質相互作用がアデノウイルス治療効果に与える影響。2.抗癌剤耐性がアデノウイルス治療効果に与える影響。結果を以下に示す。1.間質を構成する線維芽細胞の培養上清を添加して培養した膵癌細胞は添加していない膵癌細胞に比べてウイルスの導入効率が低下したが、癌間質相互作用を担うHGF/MET経路を阻害するとアデノウイルスの導入効率は改善した(Yasui,Can Sci 2011)。2、Gemcitabine感受性細胞と耐性細胞におけるアデノウイルスの導入効率と治療効果を、治療用蛋白を発現するアデノウイルス(AdNK4)を用い比較したところ、Gemcitabine耐性細胞で導入効率、治療効果ともに高いことがわかった(Yasui,投稿中)。研究の目的のうち(1)抗癌剤や周囲微小環境がウイルス遺伝子導入に及ぼす影響と機序の検討(2)Ad-NK4,Ad-GFPの遺伝子発現過程において感染の各段階における各種抗癌剤/放射線治療の影響の詳細な検討(3)抗癌剤や周囲微小環境がウイルス殺細胞療法に及ぼす影響の検討(4)制限増殖型ウイルスAd-hTERT-E1-5/3へ抗癌剤および微小環境の及ぼす影響の検討をこの2年間で行えたものと考える。
|
Research Products
(5 results)