2010 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ビリルビンを指標とした開心術術後心筋酸化ストレスの評価
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21791328
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
山本 正樹 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (20437718)
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Keywords | 心筋虚血再灌流 / バイオピリン / 酸化ビリルビン / Methylpredonizolone |
Research Abstract |
冠動脈血流減少による心筋虚血持続から、再灌流がなければ心筋細胞は壊死に陥る。再灌流により回避されるが、虚血再灌流による心筋虚血再灌流障害が生じる。再灌流後の心筋障害を引き起こす原因の一つとして活性酸素種(Reactive Oxygen Species, ROS)の関与がある。しかし、ROSは非常に不安定な物質であり、そのものを直接かつ経時的に測定することが困難であった。ビリルビンはそれ自身が抗酸化物質としての作用を持ち、自殺的にROSをscavengeする事により、酸化代謝産物であるバイオピリンが産生される。バイオピリン測定から、酸化ストレス動態評価を行ってきた。 1.抗酸化治療の導入 ラット心筋虚血再灌流モデルで、心筋虚血再灌流後、亜急性期での酸化ストレスの再上昇を心筋、肺に認めた。心筋、肺組織にED-1陽性細胞にバイオピリン発現を認めた。ED-1陽性細胞浸潤をMethylpredonisolone投与により抑制できた。Methylpredonisolone投与で、有意に尿中バイオピリが抑制されており、心筋虚血再灌流後に出現する浸潤細胞を抑制することにより、抗酸化治療を行うことができる可能性を示している。また、直接的にfree radicalを抑制すべく、MCI-186を投与したが、尿中バイオピリン評価からは有効性が示されなかった。 2.心臓手術後の酸化ストレス評価および抗酸化治療の導入 冠動脈バイパス術での尿中バイオピリンを測定、評価を行った。心拍動下冠動脈バイパス術施行症例(n=7,51~89歳)において、術中および術後48時間までに経時的採尿を行い、抗ビリルビン抗体を用いたELISA法により尿中バイオピリン濃度を測定した。冠動脈バイパス術では、心筋虚血再灌流48時間での尿中バイオピリン値の有意な上昇を認めた不安定狭心症および急性心筋梗塞症例での尿中バイオピリンの著明な上昇を認めた。冠動脈還流面積差によるバイオピリン量の差を検討すべく、症例ごとの虚血域評価を術中ICG(インドシアニングリーン)蛍光造影法を用いて評価したが、有用性は示されなかった。評価方法の再検討を行っている。
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