2011 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ビリルビンを指標とした開心術術後心筋酸化ストレスの評価
Project/Area Number |
21791328
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
山本 正樹 高知大学, 教育研究部・医療学系, 助教 (20437718)
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Keywords | 心筋虚血再灌流 / バイオピリン / 酸化ビリルビン |
Research Abstract |
虚血性心疾患や、冠動脈遮断を伴う手術は虚血心筋への血流再開後に再灌流性心筋障害(MIR)を生じる。MIRの原因の一つが活性酸素種(Reactive Oxygen Species,ROS)であるが、ROSの不安定性から経時的動態、生体内分布は不明であった。また、冠動脈バイパス術後に肺水腫を来す症例が経験されることからMIR後の肺への影響を研究した。 1.MIR後の肺障害 肺組織のバイオピリン染色では、肺胞壁内のED-1陽性単核球にバイオピリン発現を認めた。同一細胞に誘導型酸化窒素合成酵素(iNos)が発現し、No_2/No_3は2.3倍の上昇を認めた。全身性炎症性症候群(SIRs)同様に、心筋細胞由来サイトカインの産生が示唆されたが、心筋、肺でのTNF-αの発増加はなかった。肺胞隔壁拡大、単核球の増加は肺鬱血所見であり、心内圧測定から、左室内圧低下、拡張末期圧上昇を認め、鬱血性心不全の影響が示唆された。NO合成抑制、細胞浸潤抑制により肺バイオピリンは減少し、MIR後肺障害に対する窒素ラジカルを含む酸化ストレス抑制は有用性を示すと考えられた。 2.心臓手術後の酸化ストレス評価 前年度から症例集積を継続し、心拍動下冠動脈バイパス術(CABG)施行症例(n=12,51~89歳)の、術中、術後の尿中バイオピリン濃度を測定した。CABGでは冠動脈血流再開直後と、再灌流後12~24時間での二相性再上昇を認めた。統計学的にはCABG後の酸化ストレス上昇は有意であった。基礎研究結果から、NO合成抑制薬による尿バイオピリン、NOラジカルを測定することで継続研究を行う。また、CABGにおけるバイパスグラフト不全による酸化ストレス産生量を評価しているが症例集積が不十分である。同時にCABG術中に不全グラフトを特定するためのICG血管造影を行い、結果を集積している。比較できる症例が集積できれば検討可能と考える。
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Research Products
(3 results)