2010 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロRNAによるヒト骨肉腫肺転移抑制効果:モデル動物を用いた検討
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21791395
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
尾崎 充彦 鳥取大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (40325006)
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Keywords | 転移抑制 / マイクロRNA / 骨肉腫 / 生体イメージング |
Research Abstract |
平成22年度は、前年度に得られた成果、即ちmiR-143がヒト骨肉腫細胞株(143B)の肺転移抑制効果を動物モデルにて明らかにした結果をもとに、ヒト骨肉腫臨床材料におけるmiR-143と肺転移との関連性の検索とヒト骨肉腫細胞におけるmiR-143標的遺伝子群の探索をおこなった。ヒト骨肉腫22例を対象とし、原発巣におけるmiR-143発現を定量PCR法にて検索しmiR-103発現量でノーマライゼーション化した。22例を術後肺転移の有無にて2群に分けた。肺転移陽性例(7例)および陰性例(15例)におけるmiR-143/miR-103発現量比はそれぞれ0.61±0.12、1.23±0.43であり前者でmiR-143発現量が低値を示しており、miR-143発現低下と骨肉腫細胞の肺転移との関連が示唆された。次に、ヒト骨肉腫細胞におけるmiR-143標的遺伝子群を探索するため、異なる2種の方法(Ago2免沈法とLAMP法)によりRNAを包括的に回収した。それぞれの方法にて回収されたRNAをアレイ解析にて検索し、両方法にて共通して検出された78遺伝子を得た。さらに、データベースにてmiR-143標的遺伝子と考えられている遺伝子あるいは細胞の浸潤転移に関わる遺伝子という条件に当てはまる6遺伝子を絞り込んだ。それらの内、143BにmiR-143を導入し、蛋白レベルで発現が最も低下する遺伝子としてマトリックスメタロプロテアーゼ13(MMP13)を同定した。さらに、ヒト骨肉腫原発巣においてMMP13発現を免疫組織化学的に解析した結果、miR-143発現量とMMP13陽性腫瘍細胞率が逆相関する傾向が示された。以上より、ヒト骨肉腫細胞においてmiR-143発現低下がMMP13発現量増加を促進することで浸潤・転移を引き起こす可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)