2010 Fiscal Year Annual Research Report
リン代謝および骨形成・維持における糖転移酵素GALNT3の機能解明
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21791404
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉田 カロリナアンドレア 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50437828)
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Keywords | Galnt3 / 骨格 / 骨代謝 |
Research Abstract |
GALNT3(ポリペプチドN-アセチルガラクトサミン転移酵素3)は、蛋白質のセリンとトレオニンのアミノ酸残基にGalNAcを付加し、ムチン型糖鎖の形成を始める。遺伝子変異によるGALNT3酵素活性の低下はFGF23(Fibroblast Growth Factor 23)の切断、不活化を促進し、骨ハイパーオストシス高リン血症ならびに腫瘍状石灰化症を引き起こす。そこで本研究ではGalnt3遺伝子欠損(Galnt3^<-/->)マウスの解析を通し、上記の疾患におけるGALNT3の役割を確認する事と、GALNT3の生理的機能を明らかにする事を目的とした。Galnt3^<-/->マウスは高リン血症の患者と類似した表現系を示し、野生型マウスに比べて血清中のカルシウムは同量、リンは高濃度であり、FGF23は野生型マウスに比べて減少していた。すなわちFGF23によるリン代謝調節にGALNT3が関与する事が確認できた。骨格においてはGalnt3^<-/->マウスは野生型マウスに対して骨量が増加し、海綿骨内には軟骨組織が多く残存していた。骨芽細胞分化や破骨細胞の機能は正常であった。さらにGalnt3^<-/->マウスの精巣上体では精子のアポプトーシスが誘導されたため、雄は不妊状態を示した。引き続き生殖器におけるGALNT3の機能及びGalnt3遺伝子の発現調節機構の解明のために研究を進める。
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