2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト子宮内膜間質細胞におけるプロゲステロンによる遺伝子特異的な調節機構の解明
Project/Area Number |
21791559
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
竹谷 俊明 Yamaguchi University, 医学部附属病院, 助教 (70464328)
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Keywords | 子宮内膜 / COX-2 / Mn-SOD |
Research Abstract |
現在までに我々は、TNF-αによるCOX-2 mRNAの誘導はプロゲステロンにより抑制されるが、TNF-αによるMn-SOD mRNAの誘導はプロゲステロンにより抑制されないという結果を我々は見出している。そこでヒト子宮内膜間質細胞において、TNF-αによるCOX-2とMn-SODの発現増加作用の細胞内情報伝達経路を明らかにし、プロゲステロンが経路のどこに作用しCOX-2を特異的に抑制しているのかを解明するため、以下の方法で実験を行い結果を得た。 1) 転写因子の一つであるNF-κBは、炎症性反応に対する様々な遺伝子発現についてコントロールすることが知られており、COX-2やMn-SODもその一つであり、またCOX-2, Mn-SODのプロモーター領域には、NF-κB response elementが存在している。そこで、TNF-α(1ng/ml)刺激下でmedroxyprogesterone acetate(MPA, 10-6mol/l)を添加し6時間培養後に細胞の固定・回収を行い、COX-2およびMn-SODプロモーター領域におけるNF-κB response elementに対するNF-κBの結合についてクロマチン免疫沈降法(ChIP assay)にて測定した。結果はTNFα刺激により、COX-2、Mn-SODプロモーター領域へのNF-κBの結合が増加した。この作用はプロゲステロン添加によりCOX-2プロモーターでは抑制されたが、Mn-SODプロモーターでは抑制されなかった。 2) NF-κBはI-κBと結合し細胞質に局在しているが、I-κBがリン酸化されることでNF-κBは核内へ移行する。そこでTNF-αによるI-κBのリン酸化に及ぼす影響を検討するため、TNF-αやMPAを添加し培養を行い、経時的なtotal I-κBとリン酸化I-κBタンパク発現の変化をウエスタンブロッティング法を用いて測定した。結果はTNF-α刺激により、I-κBのリン酸化は増加したが、プロゲステロン添加にてI-κBのリン酸化に影響は与えなかった。 3) COX-2およびMn-SODプロモーター領域におけるヒストンのアセチル化状態を検討するため、TNF-α刺激下でMPAを添加し6時間培養後に細胞の固定・回収を行い、Anti-aeetylated histone H3, H4抗体を用いてChIP assayにて解析した。結果は、NF-κB結合領域のヒストンは、Mn-SODの方がCOX-2に比べ低アセチル化状態であった。以上よりプロゲステロンによる遺伝子特異的な転写調節機構にはヒストンアセチル化を介したepigeneticな制御が関与している可能性が示唆された。
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