2009 Fiscal Year Annual Research Report
眼内増殖性網膜疾患病態における硝子体細胞の機能解析と新しい治療戦略
Project/Area Number |
21791668
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
西塚 弘一 Yamagata University, 医学部, 助教 (60422169)
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Keywords | 硝子体細胞 / ヒアルロナン / 共培養 / 眼内増殖性疾患 / サイトカイン / 血管内皮細胞 / 細胞株 |
Research Abstract |
我々の研究室では、以前に樹立したブタ硝子体細胞株と網膜血管内皮細胞を用いて、眼内増殖性疾患における硝子体細胞の機能解析を行った。病態において発現が亢進する種々のサイトカインを用いて、硝子体細胞、網膜血管内皮細胞の反応を調べると同時に、両細胞の共培養系を確立し、よりin vivoに近い状態での硝子体細胞の血管内皮細胞への影響を調べた。ブタ硝子体細胞株にIL-1α,IL-1β,TNF-αを刺激すると、VEGF,IL-6のmRNA発現が亢進した。網膜血管内皮細胞にIL-1α,IL-1β,TNF-αを刺激すると、IL-6のmRNA発現が亢進した。網膜血管内皮細胞は、硝子体細胞と共培養することによってIL-1α,IL-1β,TNF-α,VEGF刺激下に細胞増殖が亢進した。眼内増殖性疾患の病態においてIL-1α,IL-1β,TNF-α,VEGFは硝子体細胞を介して血管内皮細胞の増殖亢進に関与している可能性が示唆された。 次に硝子体細胞に関連する研究を進めるために、我々はヒト硝子体組織由来細胞株の樹立を目指した。2つのヒト摘出眼より得られた硝子体組織を初代培養した後に、不死化遺伝子(ヒトパピローマウイルス遺伝子E6E7)を遺伝子導入した後に継代培養を繰り返した。2つのcell strain (HV64,HV65)が得られ、それらは共にコラーゲン1型A1,コラーゲン2型A1,CD11b,CD14,CD68,CD204,CD206を発現していた。ブタ硝子体細胞株において認められたTGF-β,PDGFによるピアルロナン発現調節はHV64, HV65細胞ではみられなかった。ヒトとブタで硝子体細胞の性質に違いがみられ、種間差の存在や複数種類の硝子体細胞の存在の可能性が示唆された。 今後は樹立した硝子体細胞、実験系を用いて、病態における硝子体細胞のさらなる機能解析を進めていきたいと考えている。
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