2009 Fiscal Year Annual Research Report
外傷・熱傷患者でのプロテインアレイを用いた白血球表面抗原の解析と感染症の予知
Project/Area Number |
21791777
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
関根 和彦 Keio University, 医学部, 助教 (90296715)
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Keywords | 外科 / 免疫学 / 臨床 / 外傷・熱傷 / 易感染性 |
Research Abstract |
重度外傷・熱傷患者は、感染症が契機となって多臓器不全で死亡することが多い。外傷・熱傷患者の救命には感染症の早期診断やが必須であるが、免疫能の評価に有用な検査方法は現在まで確立されていない。我々が開発した白血球表面抗原の網羅的解析(Immunophenotyping:IP)は、外傷・熱傷患者の免疫能の評価に有用であり、病態悪化の予知に貢献すると考えられる。本研究では、この解析キットによる熱傷・外傷患者のIPと臨床経過との関連を明らかにすることを目的とし、平成21年度は臨床患者における基礎的解析を行う予定とした。平成21年度に当科で集中治療を行った患者のうち、本法の解析に関する同意が得られた重度外傷・熱傷患者を対象とした。IPの解析法は、polyethylene glycolでコーティングされたスライドガラスに、解析予定の白血球表面抗原に対する抗体(詳細は下記)を並べたアレイを作成した。対象患者および健常成人から採取した血液検体を、赤血球除去後にアレイ上で15分間incubationし、リン酸緩衝液でアレイを洗浄後、抗体上に接着した白血球の有無を光学顕微鏡によって観察した(IP解析に用いた項目:T-lymphocyte subsets CD4,CD8;Monocyte subsets CD36;Neutrophil subsets CD16b)。平成21年度は熱傷患者1人と外傷患者1人に対してIPを行い、本法による解析が、健常成人に対する解析と同様に、迅速・簡便に施行可能であることが明らかとなった。熱傷患者では対照群と比較して明らかなCD4およびCD8リンパ球phenotypeの滅少を呈したが、外傷患者ではこの傾向を認めなかった。本法は臨床患者におけるIP解析に有用であり、今後さらにIPの網羅的解析によるデータを集積して、臨床経過との比較を行う予定である。
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