2010 Fiscal Year Annual Research Report
翻訳後修飾による水チャネルアクアポリン5の細胞内局在・輸送制御
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21791806
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
長谷川 敬展 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (50447273)
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Keywords | アクアポリン5 / 翻訳後修飾 / ユビキチン化 / リン酸化 / 細胞内膜輸送 / 唾液腺 |
Research Abstract |
唾液腺では、副交感神経(主にCa^<2+>シグナル)の刺激で水・電解質を多く含む唾液の、交感神経(主にcAMPシグナル)の刺激でタンパク質を多く含む唾液の分泌が亢進する。本研究では、唾液分泌に関与する水チャネル・アクアポリン5(AQP5)の翻訳後修飾の役割を明らかにするために、細胞内膜輸送に焦点を当てて解析した。平成21年度までに、in vivoマウス唾液腺およびin vitro培養細胞系で、Ca^<2+>シグナルに依存してAQP5自身がユビキチン化されること、cAMPシグナルに依存してAQP5自身がリン酸化されることを明らかにした。また、AQP5変異体発現培養細胞の解析でそれぞれの翻訳後修飾部位を決定した。 〈ユビキチン化〉AQP5の短鎖ユビキチン化はエンドサイトーシスやライソソーム系分解へ輸送シグナルとなることを想定していた。培養細胞系において、その一つの条件である、AQP5がユビキチン化されるのは小胞体(品質管理時)ではないという結果は得られたが、想定した細胞内膜輸送を示す直接的な実験的証拠を得ることは困難であった。〈リン酸化〉抗リン酸化AQP5ペプチド抗体を用いた解析で、イソプロテレノール(cAMPシグナル)投与時のマウス唾液腺において、一過的に出現するリン酸化AQP5は腺房細胞の管腔膜に局在した。同刺激時の全AQP5は、既存の報告と同様に、主に管腔膜(顆粒内物分泌後の陥入細胞膜を含む)に存在したまま細胞内局在の変化は見られなかった。また、培養細胞系における野生型AQP5および非リン酸化AQP5変異体の解析で、細胞内cAMP上昇時においてもAQP5は細胞膜に局在した。これらのことは、AQP5リン酸化は細胞内膜輸送を起こす直接的なシグナルである可能性は低いことを意味している。 本研究で、AQP5翻訳後修飾の役割を明確に示すことはできなかったが、唾液分泌促進時におけるAQP5の役割について新たな可能性を示すことができた。今後、チャネル機能の調節などへの関与も含めて、多角的にAQP5翻訳後修飾の解析を進める必要がある。
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