2009 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素による口腔扁平上皮癌細胞の脱分化誘導機序の解析
Project/Area Number |
21792030
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
大橋 勝 Showa University, 歯学部, 兼任講師 (40317524)
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Keywords | 癌幹細胞 / 低酸素 / ニッチ / 口腔扁平上皮癌 |
Research Abstract |
近年、癌が幹細胞能力と癌形成能を併せもつ少数の幹細胞様癌細胞(癌幹細胞)により形成・維持されていることが明らかにされてきた。癌幹細胞はさまざまな抗癌剤や放射線療法に抵抗性を示し、癌再発の原因細胞であると報告されている。またその性質はニッチと呼ばれる特別な微少環境によって維持されていると考えられている。癌組織内低酸素領域の癌細胞は、転移能が亢進しており化学療法・放射線療法に抵抗性を示すことが以前から知られている。この低酸素下癌細胞の性質は癌幹細胞と類似している点が多く、腫瘍内の低酸素領域が癌幹細胞のニッチになっているという知見が得られてきている。本研究では口腔扁平上皮癌細胞の低酸素による癌幹細胞への脱分化誘導の機序を解析し、低酸素を標的とした新たな治療戦略の開発を目指す。低酸素環下癌細胞と癌幹細胞の性質の類似に注目し、低酸素をニッチとしてとらえ、その脱分化機序を治療標的にするというところが本研究の特色である。本研究により癌幹細胞を標的とした新たな癌治療を飛躍的に進展させると期待でき、独創的できわめて意義深いものであると確信する。平成21年度は各種口腔扁平上皮癌細胞から癌幹細胞と非癌幹細胞の濃縮を行い、非癌幹細胞を低酸素下で培養することにより、癌幹細胞への脱分化を試みる。低酸素培養癌細胞と濃縮した癌幹細胞における各種stem markerの発現、遺伝子発現プロファイルを解析することで、癌幹細胞への脱分化を確認すると共に脱分化誘導機序を解明する。
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