2011 Fiscal Year Annual Research Report
成長軟骨細胞が産生する分泌性蛋白質および膜蛋白質による軟骨細胞分化機構の解明
Project/Area Number |
21792086
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
日高 聖 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10389421)
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Keywords | 軟骨細胞 / 軟骨細胞分化 / 成長軟骨 / 分泌蛋白質 / 膜蛋白質 / SST-REX法 |
Research Abstract |
本研究は、SST-REX法(Signal Sequence Trap basgd on Retroviral Expression)という分泌型蛋白質のスクリーニング法として極めて有効な手法を応用し、軟骨細胞の分化にあずかる分泌蛋白因子の網羅的な同定を試みるものである。マウス肋軟骨骨端成長軟骨からレトロウイルスライブラリを作製し、前もって予想された細胞外軟骨基質を構成するprocollagen type II alpha 1 chainおよびprocollagen type I alpha 2 chainをPCR法にて検出・除外した後、313クローンをシークエンシング・相同検索し、約60種の分泌型蛋白質・膜蛋白質の発現を同定した。このうち、Insulin-like Growth Factor Binding Protein 5 (IGFBP5)およびFibroblast Growth Factor Receptor type 5 (FGFR5)の発現を、軟骨細胞の各分化段階にある軟骨細胞分化モデル細胞株ATDC5細胞より抽出したRNAを用いたRT-PCR法によって詳細に検討したところ、IGFBP5は増殖軟骨細胞特異的に、またFGFR5は肥大軟骨細胞特異的に発現していることを突き止めた。さらに、2週齢マウスの骨端軟骨を用いたin situ hybridization解析によってin vivoにおいても同様め発現パターンを確認した(論文執筆中)。 FGFR5については、このチロシンキナーゼ活性を有しない特徴的なFGF受容体が、軟骨細胞分化調節において果たす役割について明らかにするために、福島県立医科大学・山本雅哉准教授とともに共同研究を進めている。 本年度はATDC5を用いて、FGFR5およびIGFBP5のRNAi法によるノックダウンを行い、いずれも軟骨細胞としての分化能が低下することを突き止めた(未発表)。引き続き蛋白成分としての培地への添加・および遺伝子導入による過剰発現によって、軟骨細胞分化調節にあずかる機能解析を進めている。
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