2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21792161
|
Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
藤波 義明 松本歯科大学, 歯学部付属病院, 助手 (80392801)
|
Keywords | 環境タバコ煙 / 受動喫煙 / 唾液 / 小児 / 齲蝕 / Cotinine / 唾液腺 / Streptococcus mutans |
Research Abstract |
日本人の喫煙率は減少傾向ではあるが、喫煙者への各種団体の圧力は功を奏しておらず、理由として基礎研究成果の少なさが考えられる。喫煙者の周りの人は受動喫煙にさらされており、特に成長発達過程にある乳幼児や小児、胎児(妊婦)で健康被害が大きい。最近では、喫煙による健康被害の1つとして齲蝕が考えられるようになってきている。疫学調査では受動喫煙レベルと齲蝕歯数に相関性が認められているものの、喫煙と齲蝕についての基礎的研究は報告されておらず、その機序も明らかではない。 本研究では、齲蝕モデル動物にタバコ煙(CS)を曝露し、齲蝕とCSの関係について解析を行った。 既報告に従ってCS曝露開始から7日間Streptococcus mutans (Sm)の懸濁液を1日1回口腔内に与え、齲蝕モデル動物を作成した。本モデル動物に対し、昨年度と同様のCS曝露を行い、CS曝露群とした。対照群はCS曝露群と同回数および同時間、別の容器に移動させた。Pentobarbital麻酔下で、CS曝露前と曝露開始30日後に刺激時唾液を15分間採取し、左側上顎臼歯頬側面より歯垢を採取した。CS曝露開始31日後に深麻酔により屠殺、顎を摘出し、齲蝕検知液にて染色した。左側上顎臼歯を矢状面にて半割し、Electron Probe Micro Analyzerによる元素分析を行った。 唾液量、齲蝕活動性、唾液中Sm菌数に変化は見られなかった。CotinineはCS曝露30日後でのみ検出され、CS曝露前および対照群に比べ有意な差を示した。対照群、CS曝露群ともにほぼ全ての裂溝が齲蝕となっており、対照群に比べCS曝露群の齲蝕面積が有意に大きい結果となった。しかし元素分析の結果、再石灰化された部分の組成に差は見られなかった。 CS曝露はSmの活動性・増殖には影響しないが、再石灰化を遅延させるなどして齲蝕を進行させる可能性が示唆された。
|