2009 Fiscal Year Annual Research Report
治療期肺がん患者のための『気持ちの面から捉えた呼吸困難アルゴリズム』の開発
Project/Area Number |
21792227
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Research Institution | Gunma Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
橋本 晴美 Gunma Prefectural College of Health Sciences, 看護学部, 助手 (20404923)
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Keywords | 呼吸困難 / 肺がん / 治療期 / アルゴリズム |
Research Abstract |
治療期肺がん患者の呼吸困難症状に対応した「気持ちの面から捉えた呼吸困難アルゴリズム」を開発することを目的に、平成21年度は治療過程にある進行肺がん患者の呼吸困難症状による行動変化に伴う情緒的反応について質的研究を行い、アルゴリズム構成要素についての示唆を得た。がんに対する治療過程にある進行肺がん患者15名を対象に半構成的面接により得られたデータを内容分析した結果、【課せられた活動困難性】【自己概念の揺らぎ】【自己の孤立化】【生きる支えとなるものの喪失】【不確実な未来への脅威】【安定した自我の希求】の6の体験を表す概念が形成された。また、これらの概念の関連性を構造化した結果、【課せられた活動困難性】はあらゆる概念の根底となり、【安定した自我の希求】と同時に起こって負の循環を繰り返す経過をたどった。そして軽減されない呼吸困難という結果へとつながり、さらにその影響として、【自己概念の揺らぎ】【生きる支えとなるものの喪失】などの体験へとつながっていた。現在はこの結果に基づき、呼吸困難という出来事に対して患者がとった行動と、それに伴って生じた情緒的反応、およびその情緒的反応が動機づけとなってとられた行動の関連性を構造化し、概念モデルを作成し、アルゴリズムの構成要素および順序性を検討している段階である。【自己概念の揺らぎ】や【生きる支えとなるものの喪失】に属する説明概念で示される情緒的反応や、【安定した自我の希求】に属する説明概念で示される行動をとっているのにもかかわらず呼吸困難は軽減されないままであるという事実は重要視すべき出来事であると示唆される。今後は以上の経過に基づき、アルゴリズムの試案を作成し、使用を試みながらその構成要素や順序性の検討と、アルゴリズム活用による有効性について検討する予定である。
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