2011 Fiscal Year Annual Research Report
定年退職後の高齢男性ボランティアの活動に関する記述的研究
Project/Area Number |
21792293
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 美華 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (20305345)
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Keywords | 高齢男性 / ボランティア / 定年退職 / 質的研究 |
Research Abstract |
本研究は、これまで明らかにされてこなかった定年退職後に地域を基盤としたボランティア活動に参加している高齢男性という特定の文化的集団に焦点をあて、彼らは、どのようなきっかけでボランティア活動に参加し、どのように活動しているのか、また、彼らにとってボランティア活動とはどのようなものなのか、その意味を探求することを目的とした。 研究参加者は、A県B町において定年退職後に地域を基盤としたボランティア活動(健康づくり事業および介護予防事業におけるボランティア、子育て教室やおもちゃ病院のボランティアなど)に参加している高齢男性10人と、高齢男性と共に活動に携わるボランティアスタッフ、事務局職員、担当保健師の計7人である。データ収集は、研究参加者の了解を得た上で、健康づくり事業や介護予防事業、子育て教室やおもちゃ病院での活動場面および打ち合わせや反省会の場面に参加させてもらい、高齢男性の活動の様子や対象者やスタッフの関わりの様子などを観察し記述するとともに必要時、グループインタビューおよびインフォーマル・インタビューを行った。また、高齢男性に対し、ボランティア活動をはじめたきっかけと活動に関わっての感想や意見などについて、その他の研究参加者には、ボランティア活動での高齢男性の活動ぶりについて、個別にインタビューを行った。さらに、町の人口統計資料、広報、活動のまとめなどの既存資料から必要事項を採取し、記述した。データ収集と分析はSpradleyの方法に基づいて行った。 高齢男性のボランティア活動への参加のきっかけとして、【退職を契機とした自己の課題の明確化】と【参加行動を促す外的要因】の2つのカテゴリが抽出され、それぞれの下位には、<仕事だけの自分を再認識する><地域とのつながりがないことへの気づき><地域の一員としての自己の希求>と<地域の役割を付与される>が抽出された。また、ボランティア活動への継続参加の要因として、【地域の課題を認識する】【地域を守ることへの責任感】【地域に役立つ自分への達成感が得られる】【男性の居場所がある】【家族の理解がある】の5つのカテゴリが抽出された。
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