Research Abstract |
平成21年度は,関連文献の検索と検討を行い,27項目から構成される【働く人版・セルフケア評価質問紙】を作成した。研究への承諾と協力について同意の得られた群馬県内の事業所で働く20~60歳代の勤労者500名に対し,【働く人版・セルフケア評価質問紙】,フェイスシート,日本語版気分形容詞チェックリスト短縮版JUMACL,うつ評価尺度Beck Self Raiting Scaleを配布し無記名・自記式留置法調査として実施した。統計ソフトSPSSを用い,重み付き最小二乗法による因子分析,プロマックス回転を行った結果,「サポート」,「希望」,「充実感」,「朝の目覚め」,「食事量の調整」,「健康意識」,「悪い習慣の存在」,「悪い習慣に対する修正意欲」の8因子が抽出された。Cronbach'α係数は0.573~0.872であった。【働く人版・セルフケア評価質問紙】の妥当性および信頼性が確認された。 平成22年度は,さらに,500名の勤労者に対し追加調査を実施し,サンプル数を増やして,共分散構造分析を実施した。モデルには,因子分析で確認された8つの変数と【働く人版・セルフケア評価質問紙】の構成概念である<生きる意味>,<健康志向>,<生活習慣>の3つの潜在変数を組み込んだ。モデルの適合度は,GFI=0.979, AGFI=0.958, CFI=0.947, RMSEA=0.062であった。観測変数と潜在変数の間の標準化係数は,すべてp<0.05のレベルで有意であった。<生きる意味>から<健康志向>および<健康志向>から<生活習慣>への潜在変数間の標準化係数はそれぞれ,0.94と0.80であった。<生きる意味>の潜在変数は「希望」と「充実感」の観測変数から構成されており,<生きる意味>は「ソーシャルサポート」によって影響を受けていた。また<健康志向>は,「健康意識」と「悪い習慣に対する修正意欲」によって構成されていた。<生活習慣>は,「朝の目覚め」,「食事量の調整」,「悪い習慣の存在」から構成されていた。共分散構造分析により,セルフケアの状態を構成する要因の関連が明らかとなった。
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