2011 Fiscal Year Annual Research Report
働く人版・心身のセルフケア行動評価質問紙の開発に関する研究
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21792295
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Research Institution | Gunma Paz University |
Principal Investigator |
小笠原 映子 群馬パース大学, 保健科学部, 講師 (40389755)
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Keywords | セルフケア / 働く人 / 生活習慣 / メンタルヘルス / 尺度 |
Research Abstract |
平成21年度は,関連文献の検索と検討を行い,27項目から構成される【働く人版・セルフケア評価質問紙】Self-Care Assessment Inventory for Workers(以下、SCAI-W)を作成した。研究への承諾と協力について同意の得られた群馬県内の事業所で働く20~60歳代の勤労者に対し,SCAI-W,フェイスシート,日本語版気分形容詞チェックリスト(以下、JUMACL),うつ評価尺度(以下、BDI)を配布し無記名・自記式留置法調査として実施した。統計ソフトSPSSを用い因子分析を行った結果,「サポート」,「希望」,「充実感」,「朝の目覚め」,「食事量の調整」,「健康意識」,「セルフコントロールの欠如」,「悪い習慣の修正」の8因子が抽出され、Cronbach'α係数は0.573~0.872であり、SCAI-Wの妥当性および信頼性が確認された。 平成22年度は、因子分析で確認された8つの変数とSCAI-Wの構成概念である<前向きな心構え>,<健康志向>,<毎日の行動>の3つの潜在変数を組み込んだモデルについて、共分散構造分析を実施し、セルフケアの状態を構成する要因の関連を明らかとした。 平成23年度は、SCAI-Wの心理的・行動的概念との関連を調べるために、重回帰分析を行った。基本属性、健康関連データ、JUMACLのサブスケールである「エネルギー覚醒」と「緊張覚醒」を重回帰分析の独立変数として用いた。ステップワイズ法によって選択された10変数は、1)エネルギー覚醒、2)緊張覚醒、3)運動、4)喫煙、5)BMI、6)3合以上の飲酒、7)ギャンブル、8)居住環境、9)性別、10)年齢であった。また、SCAI-Wを構成する8因子の特徴を調べるために、健康関連データによって分類されたグループ間(BMI(BMI≧25、BMI<25)、喫煙(吸う、吸わない)、3合以上の飲酒(あり、なし)、ギャンブル(する、しない)、運動(する、しない)、BDI(BDI得点く11、BDI得点≧11))で各因子のスコアを一元配置分散分析と多重比較(Tukey'sテスト)を用い比較した。その結果、「ソーシャルサポート」得点は、「BMI」、「喫煙」、「三合飲酒」、「ギャンブル」、「抑うつ」に有意差が認められた。「健康意識」得点は、「BMI」、「運動」、「喫煙」、「ギャンブル」、「抑うつ」に有意差が認められた。「悪い習慣への修正」得点は、「BMI」、「運動」、「ギャンブル」、「抑うつ」に有意差が認められた。これらの所見から、健康関連データとSCAI-Wとの関連が明らかとなり、更にセルフケアの改善のためには、行動のコントロールだけでなく、気分に対する気づきや調整が重要であることが示唆された。
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