2010 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール依存症者に対する偏見除去のための教育的介入の効果
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21792349
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
岡田 ゆみ 広島国際大学, 看護学部, 講師 (70364099)
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Keywords | アルコール依存症 / 社会的態度 / 教育的介入 |
Research Abstract |
アルコール依存症者の偏見除去のための教育的介入を行うため、前年度に得られた知見をもとにプログラムを作成し介入を実施した。対象は看護学科1,2年生。介入群には講義と当事者の語りを含む120分を受講してもらい、介入前、介入1週間後、介入2カ月後に自記式質問紙調査を実施した。対照群も同時期に調査を実施。調査項目は、退院後の断酒するアルコール依存症者に対する社会的態度、アルコール依存症に対する知識、飲酒問題に対する捉え方、アルコール依存症の経験可能性の認識、断酒継続の予測、つきあい方の自信等とした。調査時期は平成22年12月~平成23年2月。 調査終了時まで継続して協力が得られたのは介入群23名、対照群27名。介入群の断酒するアルコール依存症者に対する社会的態度の平均総得点は介入前16.9±3.3、介入後(2週間)13.3±3.9、介入後(2カ月)13.4±4.0で社会的態度は改善傾向にあった。 また介入・対照群別による3回の調査結果の比較検討には2要因分散分析(混合計画)を用いた。退院後の断酒するアルコール依存症者に対する社会的態度は1%水準で交互作用が認められ、単純主効果の検定により介入群にプログラム実施後肯定的な有意差が認められた。 またこの社会的態度に影響を与える要因とされていた項目において、1%水準で交互作用が認められたのは、「飲酒問題に対する関与の意識」などであり介入群にプログラム実施後肯定的な有意差が認められた。反面、「アルコール依存症に対する経験可能性の認識」「断酒継続」については、プログラム実施後に認識の改善がみられたものの交互作用は認められなかった。 今回作成したプログラムにおいては、地域で断酒するアルコール依存症者に対する社会的態度を改善させる一定の効果が認められた。しかし社会的態度に影響を及ぼす要因には介入による変化に限界もあったため、今後プログラムの更なる検討が必要である。
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