2010 Fiscal Year Annual Research Report
液中原子分解能AFMを用いた蛍光プローブ分子拡散計測法の信頼性検証
Project/Area Number |
21810009
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
淺川 雅 金沢大学, バイオAFM先端研究センター, 助教 (90509605)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / ナノテクノロジー / 生体膜 / 脂質分子拡散 |
Research Abstract |
本研究の目的は、モデル生体膜中の蛍光標識された脂質分子の拡散挙動を液中分子分解能FM-AFMと蛍光プローブ標識法により全て同じ条件で計測し、正確に比較することで分子拡散計測法としての信頼性を検証することである。前年度(平成21年度)までに、両手法を同じ観察条件で比較できる計測セルの設計・試作を行い、モデル生体膜として用いる人工平面脂質二重層の調製条件を確立した。本年度(平成22年度)は、前年度に開発した計測セル内に蛍光標識分子を加えたモデル生体膜を調製し、落射型蛍光顕微鏡と液中FM-AFMによる観察を行った。本研究で使用した蛍光標識分子は極性頭部にNBD(ニトロベンゾオキサジアゾール)もしくはローダミンの蛍光基が導入されたリン脂質構造を有する。これら蛍光標識分子をリン脂質DPPC (dipalmitoylphosphatidylcholine)に0.1-10モル%の濃度で混合し、ベシクルフユージョン法により平面脂質二重層をマイカ基板上に調製した。この平面脂質二重層を蛍光顕微鏡により観察した結果、10μm程度の領域では均一な脂質二重層が形成されており、光褪色後蛍光回復法による分子拡散計測に適用できることを確認した。さらに同じ脂質二重層を液中FM-AFM観察した結果、その表面に存在するサブナノメートルの局所構造を直接計測することができた。これらの成果より、蛍光顕微鏡および液中FM-AFMを用いて全て同じ条件で調製したモデル生体膜の分子スケールの挙動について比較・検証できるようになった。今後、本研究で開発した計測セルを利用して種々の蛍光分子が標識された脂質分子の拡散挙動について、分子スケールの理解が進むことが期待される。
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Research Products
(1 results)