2010 Fiscal Year Annual Research Report
算数科の教授学習に焦点化した教師の専門性:教師の児童認知と意思決定に着目して
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21830033
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 麻沙美 東京大学, 大気海洋研究所, 特任講師 (00539520)
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Keywords | 教授学習過程 / 算数教育 / 教師の専門性 |
Research Abstract |
本研究は、算数科の教授学習過程における教師の専門性の具体を検討しようとするものである。教師の専門性を説明する概念として、教師の教科の学習内容に関する知識(content knowledge)、教授に関する知識(pedagogical knowledge)、「教授を想定した教科内容の知識」(pedagical content knowledgePCK)が挙げられる(Shulman,1986,2004)。また教授行為の様相や質を検討した研究(Lampert,1986,2001;Hill et al.2008)も行われるようになってきた。 また、教師の知識を質問紙調査と授業での教師の発話内容(誤った説明や理解)から同定し、学習者の学力に影響を与えていることが明らかにされている。Ball et al.2005)。そこで、これらの先行研究の成果を踏まえつつ、教師の学習指導場面における専門性の具体を明らかにするために、本研究では、児童の誤った解答をどのように捉え、そしてその誤りを授業でどのように使用するのか、児童の認知と授業デザインに焦点を当てる。校種による児童認知と授業デザインの相違をとらえることで、教師の専門性の具体を検討するものである。 A県A市の小学校教諭46名と中学校数学科教師35名を対象に、教職年数、勤務歴を問うフェイスシートに授業観、児童・生徒に期待する学習スタイル、授業スタイルと、理解を促進するために使用する図的表現、誤答の理解と授業デザインに関する質問紙調査を行った。その結果、教授スタイルにおいて、「絵や図を使用して説明する」、「グループごとに話し合いをする」、「実際のものを見せたり、使ったりする」といった項目で校種間で有意な偏りが見られた。学習者に求める数学理解の様相には校種による違いは見られなかった。図的表現の使用、誤答の理解と授業デザインに関しては、図的表現の使用、誤答の理解に差異は見られなかった。演算方法(筆算)の指導に関しては、小学校教師はルールを教えること、中学校教師は、学習者自らが演算の適切さに気付くように授業を展開する点で違いが捉えられた。
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Research Products
(4 results)