2010 Fiscal Year Annual Research Report
1930年代における英印経済関係の変容と日本の果たした役割
Project/Area Number |
21830092
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
木谷 名都子 名古屋市立大学, 大学院・経済学研究科, 講師 (00509367)
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Keywords | 経済史 / イギリス帝国史 / 南アジア史 / 特恵関税 / 綿花 |
Research Abstract |
本年度は研究計画に基づき、8月初旬から9月中旬にかけてイギリス・ロンドンにある国立公文書館と大英図書館、リヴァプール市立図書館、マンチェスター公文書館を訪れ、イギリス外務省・商務省・大蔵省・インド省およびマンチェスター商業会議所に関する資料の調査を実施した。本研究課題に鑑みて、1930年代後半に実施された英印通商交渉および第二次日印会商に関する議事録や覚書、関係者の書簡に資料調査の焦点を当てた。前年度にインド・デリーの国立公文書館およびネルー記念博物館附属図書館で実施したインド政庁の資料および20世紀前半のインド財界人の個人資料の調査結果とあわせて、ディスカッション・ペーパー'India's Response to the Paradox of British Imperialism during the Inter-War Period' (Discussion Paper No.529, 7^<th> January 2011, The Society of Economics, Nagoya City University.)を成果としてまとめた。1930年代の英印経済関係については、英印2国間の枠組みで論じられることが多かったが、このディスカッション・ペーパーにおいては、英印日3国間の枠組みのなかにインドを位置づけ、対英特恵関税の財政的意義にも着目しつつ、1930年代を通じてインド政庁が相対的独自性をもって、輸入関税収入源あるいは綿花などに代表される一次産品輸出先としての日英両国の重要性の変化を鑑みつつ、両国との柔軟な関係維持を模索していたことを論じている。なお、ロンドンおよびマンチェスターで収集してきた資料については、現在執筆中の別の論考においても大いに活用できるものであり、これも本研究の成果に含められる見通しである。
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Research Products
(1 results)