2009 Fiscal Year Annual Research Report
雇用の内的柔軟性に関するオランダ労働契約法制の研究
Project/Area Number |
21830100
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Surugadai University |
Principal Investigator |
石田 信平 Surugadai University, 法学部, 講師 (20506513)
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Keywords | オランダ / 労働契約 / 労働時間変更請求 / 制度理論 |
Research Abstract |
平成21年度については、オランダ労働契約法について大きなインパクトを与えたTaxi Hofman事件(HR 26 juni 1998,JAR1998,199)を中心とした議論を整理した。同事件は、労働契約に関する一般条項存定めるオランダ民法611条(使用者と労働者は、それぞれ良き使用者、良き労働者として行動すべき義務を負っている)に某づいで、使用者の労働条件の一方的変更の申込みについて、労働者には合理的た理由がたい限りこれを積極的に受諾すべき義務があることを説示したものである。こうした議論の一部を反映した成果を平成21年10月18日の日本労働法学会報告に反映させた。また、平成22年3月にオランダ・アムステルダム大学に赴き、関連する論文・裁判例の収集を行った。 労働契約は、他の契約と比較すると、契約当事者が契約内容を明確に定める範囲が著しく限定されている。継続的あるいは企業組織の中で展開されていく労働契約の内容をどのように確定していくのかという問題について、オランダの労働契約法制に関する議論は一つの視点を提供している。たとえば、ワークライフバランスの観点から、労働者には労働時間を変更する請求権が認められるべきか。経済環境への柔軟な対応の観点から、使用者に一方的労働条件変更権が認められるべきか。オランダでは、こうした労働契約の柔軟性について、契約理論と制度理論の対立といった労働契約の根本に立ち返った議論が行われているからである。
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