2010 Fiscal Year Annual Research Report
円環モード光共振器によるレーザーコンプトン散乱の高度化に関する研究
Project/Area Number |
21840049
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
坂上 和之 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (80546333)
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Keywords | レーザーコンプトン散乱 / 光共振器 / ベッセルビーム |
Research Abstract |
円環モードを蓄積する共振器の構築を行い、その有用性を議論した。まずは円環モード光共振器によって円環モードの蓄積を行い、増大率を評価した。共振器内における増大率としては特殊光学部品の透過率及び反射率が十分でないために10程度と小さな値であった。フィネスとしては約30に相当する。これらの特殊光学部品に関しては当面は改良も期待できず、増大率の向上の目処は立っていない。また、収差などの影響に関しても増大率が小さいため、収差の蓄積がなく、優位な測定はできなかった。 そこで、この共振器を用いた場合と従来の球面ミラーによる共振器とで、レーザーコンプトン散乱においてどの程度のゲインがあるかをシミュレーションによって比較検討した。共振器の長さなど様々なパラメータの調整が考えられるが、今回は2009年に研究代表者が行った実験との比較を行った。衝突角度を正面にでき、効率が向上する。また、正面衝突ゆえにレーザー・電子それぞれの時間幅を比較的自由に設定できる。これらを合わせて10倍程度効率は上がるが、増大率の分を補うには至らない。したがって最低でも増大率100程度の共振器を構築できる素子の開発が必須である。 しかしながら、本研究課題では提案していなかったが、CO2レーザーなどの波長10μmのようなレーザーの場合には球面ミラーにおいても透過率が低く、高い増大率が得られにくい。また電子ビームほどの短パルス化は非常に困難である。そこで相対的に本研究課題で開発した円環モード光共振器が有用となると期待している。レーザーコンプトン散乱の場合には波長が長いほど効率よく散乱線を生成することができるため、波長の長い領域での利用が期待できる。
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Research Products
(4 results)