2010 Fiscal Year Annual Research Report
子犬、病犬及びヒト由来大腸菌における薬剤耐性の分布状況調査及びその性状解析
Project/Area Number |
21880043
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
原田 和記 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 助教 (80549543)
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Keywords | 薬剤耐性 / 大腸菌 / 疫学 / 遺伝子 / ESBL |
Research Abstract |
今年度においては、前年度に収集・調査した病犬及びヒト由来大腸菌株対象に、分子遺伝学的解析を中心に実施した。なお、子犬由来大腸菌における薬剤耐性分布及びその疫学的関連性については前年度に調査を完結しており、その成果については学会発表及び論文投稿を行った。 病犬の泌尿生殖器由来大腸菌においては、病原因子及び系統発生学的分類の調査を行い、その結果、薬剤耐性はこれらの因子と関連して分布していることが示唆された。このことは、抗菌剤の使用以外にも、各株が持つ性状により耐性獲得頻度が異なる可能性を示している。本成果については学会発表及び論文投稿を行った。また、病犬由来大腸菌のセファゾリン耐性機構を調査した結果、一般的な耐性機構に加え、一部にCTX-MタイプのESBLが確認され、さらにこれまで伴侶動物では報告がなかったDHA-1タイプのセファロスポリナーゼも認められた。また、血清型別及びMLST解析を行ったところESBL産生菌の一部が医療上重要視されている025b-ST131タイプであることが判明した。これは日本の伴侶動物では初の検出例であり公衆衛生上注目されるべき所見である。本結果については、学会発表予定及び論文投稿中である。 飼い主、非飼い主と飼い犬の糞便由来大腸菌については、前年度の薬剤感受性試験に引き続き、それぞれの病原因子及び系統発生学的分類を調査したところ、系統発生分類については由来間で統計学的な差が認められなかったが、病原因子は飼い犬で最も高率に検出された。このことから、犬の糞便は、薬剤耐性大腸菌よりむしろ病原性大腸菌のリザーバーになりうる可能性が示唆された。また、飼い犬及び飼い主の株をPFGE解析したところ、34家庭中3家庭で同一クローンが認められ、飼い犬と飼い主間で糞便を介した大腸菌の共有化が生じることが明らかとなった。本結果については、学会発表予定及び論文準備中である。
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Research Products
(4 results)