2010 Fiscal Year Annual Research Report
担子菌由来の糖質分解酵素を用いた機能性オリゴ糖の開発
Project/Area Number |
21880050
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Research Institution | (財)岩手生物工学研究センター |
Principal Investigator |
金野 尚武 財団法人岩手生物工学研究センター, 生物資源研究部, 研究員 (60549880)
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Keywords | バイオマス / 糖質分解酵素 / 担子菌 / オリゴ糖 / 機能性食品 / シイタケ |
Research Abstract |
バイオマスからの機能性材料開発が活発化する中で、多糖の低分子化物であるオリゴ糖の機能が注目されている。本年度は、食用キノコ由来酵素を利用した安心かつ安全なオリゴ糖開発を目指し、シイタケの抽出液中に含まれるβ-1,6グルカナーゼを新たに単離し、食用地衣類イワタケが構造組織として有するβ-1,6グルカンを低分子化することで新規オリゴ糖を開発した。 収穫後4日目のシイタケ子実体抽出液からβ-1,6グルカナーゼを精製した。本酵素はキノコ類から初めて単離されたβ-1,6グルカナーゼである。精製酵素のcDNAをクローニングしたところ、本酵素は糖質加水分解酵素ファミリー30に属することが判明した。 数種類のグルカンを用いて、本酵素の基質特異性について検討した結果、β-1,6グルカン多糖に対する高い基質特異性が明らかになった。また、海藻類由来のβ-1,3/1,6グルカン分子中のβ-1,6結合(側鎖)も部分的に解離できることが示唆された。本酵素によるβ-1,6グルカン(市販プスツランおよびイワタケ熱水抽出物)分解生成物をTLCおよびLC/MS分析したところ、反応様式はエンド型であると考えられ(EC:3.2.1.75)、分解反応の過程で1-6糖の生成が確認された。β-1,6グルカンおよびその酵素分解物の免疫賦活性を評価するため、RAW246.3細胞におけるTNFα発現を分析した。その結果、β-1,6グルカンはマクロファージを活性化し、本酵素で低分子化処理しても活性が維持されることが判明した。一般的にグルカンの免疫賦活性は低分子化により消失する。一方で、腸管粘膜を通過させるためには低分子である方が有利であることから、本検討課題で開発した低分子化β-1,6グルカンは新規機能性材料としての応用が期待できる。
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Research Products
(3 results)