2010 Fiscal Year Annual Research Report
IAD(失禁に起因した皮膚障害)に関する客観的リスクアセスメント指標の開発
Project/Area Number |
21890217
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
繁田 佳映 金沢大学, 健康増進科学センター, 助教 (50514618)
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Keywords | Incontinence Associated Dermatitis / 浸軟 / 失禁 / 高齢者 |
Research Abstract |
失禁に関連した皮膚炎(Incontinence Associated Dermatitis:IAD)のリスク状態として排泄物による浸軟皮膚が推測されるが、その生理機能、形態的特徴は十分に明らかにされていない。そこで本研究は、浸軟皮膚の生理機能および色調・形態的特徴を明らかにし、浸軟皮膚がIADのリスク状態として妥当であるか、またその色や形態の特徴は何かについて検討した。 その結果、浸軟皮膚は非浸軟皮膚と比較し、角層の水分量だけでなく、真皮層の水分量も有意に高いことが明らかとなった。これは、排泄物中の水分が真皮層まで浸透した可能性を示しているだけでなく、炎症による浮腫が生じていた可能性も示している。加えて、浸軟皮膚は経皮水分蒸散量(TEWL)や皮膚pHも非浸軟皮膚と比較し有意に高く、皮膚バリア機能が低下していることが示唆された。以上の結果より、排泄物による浸軟皮膚は深刻な状態であるといえ、IADのリスク状態として可能性が高いことが明らかとなった。 排泄物による浸軟の色調および形態的特徴に関しては、発赤の程度を示すErythema indexが非浸軟皮膚と比較し有意に高く、浸軟のカットオフポイントは43(Area under ROC curve:0.870,sensitivity:84%,specificity:76%)であった。視覚的な判別が難しい浸軟皮膚の特徴が定量化されることにより、IADのリスク状態である浸軟の判別が容易になると期待できる。
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Research Products
(5 results)