2022 Fiscal Year Annual Research Report
Feasible measures to decrease VOCs in museum environments
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21H00624
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Research Institution | Kyushu National Museum |
Principal Investigator |
木川 りか 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, 課長 (40261119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 祐基 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, 研究員 (20825583)
和泉田 絢子 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, アソシエイトフェロー (20885149)
白井 克也 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部文化財課, 課長 (70300689)
川村 佳男 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, 室長 (80419887)
川畑 憲子 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, 室長 (00463505)
桑原 有寿子 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, 研究員 (50784039)
藤井 義久 京都大学, 農学研究科, 教授 (10173402)
伊藤 信二 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, 課長 (00443622)
河野 一隆 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部, 部長 (10416555)
小泉 惠英 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 未登録, 副館長 (40205315)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 揮発性化学物質 / VOC / 展示環境 / 展示ケース / 空気環境 / 博物館 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、館内のケースのVOCs濃度を定期的にモニタリングしている。さまざまな対策を施したケースの計測結果を経時的に検討することにより、多くの情報が得られている。展示ケースに工事などを行わず換気する方法についても、ある程度の効果があることが示されたが、今年度は既存のエアタイトケースにタイマー付きのファンを設置し、揮発性有機化合物(VOCs)の濃度を減らす検討を行った。その結果、VOCsの濃度が良好な値にまで低減できることが示された。今後同様の方法で改善を進めていくための基礎資料となるもので、結果は学会にて公表した。また、VOCsの放出を低減するため試作したアルミ製の展示台の彩色方法を検討した。塗料で塗装する彩色法では低VOCタイプを用いても臭気が発生して望ましくなかったことから、彩色されたシートを貼って包装する方法を検討し、採用した。現在、経過を調査している。 展示ケースのVOCs対策を積極的に行っている国内の博物館2か所を視察し、それぞれの対応について情報交換を行った。このことを通じ、展示ケースに用いるさまざまな内装材や遮蔽材について、現場で使用した際の利点、欠点を明確にすることができた。 また、腐食生成物が生じたブロンズ製金属遺物について、腐食生成物の詳細分析を行い、海揚がり品などの遺物から生じたガス状の硫黄化合物が銅製金属製品の特徴的な腐食生成物生成の原因となったことがわかり、研究協力者とともに学会で報告した。 さらに、保管環境の有機酸や硫黄化合物等のVOCsがさまざまな文化財材質に及ぼす影響、および展示施設の現場で実施しているVOCs改善策について、研究紀要に公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学芸部の研究分担者の協力のもと、現場の展示スケジュール等に影響を与えることなくVOCsの低減対策の検討を順調に進めることができた。また、揮発性化学物質による実際の文化財の腐食事例についての研究成果を学会で発表するとともに、VOCsの文化財全般に対する影響についてもレビューを公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はこれまでの検討結果をもとに、VOCs濃度を低減するための汎用性のあるシステムになるよう改良を重ねていきたい。また、揮発性有機化合物が放散されにくい展示台の仕様や、展示ケースの改善のための仕様については、学芸部展示担当者と緊密に連携をとりながら、ひきつづき策定を進める。さらに、合板が使用された既存ケースの改善方法(工法)についても、現実的かつ有効な仕様案をつくり、他の施設にも参考になるようなプロトタイプを作っていきたい。
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Research Products
(3 results)