2022 Fiscal Year Annual Research Report
Serpentinization and carbonation in the mantle wedge by seawater-originated subduction-zone fluids
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21H01178
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
川本 竜彦 静岡大学, 理学部, 教授 (00303800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市山 祐司 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (90625469)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 二酸化炭素 / 炭酸塩 / マントル / 蛇紋岩 / 水熱合成実験 / リュウグウ / ハヤブサ2 |
Outline of Annual Research Achievements |
高温度高圧力条件での二酸化炭素混合流体とマントル岩の炭酸化反応を理解するために下記の実験を行った。 1. 温度校正実験 水熱合成装置の圧力容器は長さ175mm外径35mm内径8.8mmで、中央に直径6mmのNi棒をfiller rodとしていれる。Ni棒の先の穴に直径3mmの金パラジウムカプセルを入れる。圧力容器の外側の温度をKタイプ熱電対で計測する。NaNO3の粉末中に直径0.5mmのステンレス球を金パラジウムカプセルに封入し保持し、球の落下を確認することで温度校正を行なった。1時間程度の実験時間では熱電対の表示温度は試料温度より32-43℃低いが、22時間保持した場合、試料と圧力容器の外側の温度差はほぼないと結論する。 2. マントル岩の炭酸塩化実験 200-400℃、0.076-0.180GPaの条件でマントル岩(カンラン石またはアンチゴライト)+シュウ酸2水和物±ディオプサイドを金パラジウムカプセルに封入し反応させた。実験終了時は圧力容器を電気炉から離し、圧縮空気で空冷した。その後、カプセルに穴を開け減った質量を流体中の二酸化炭素量とし、その後オーブンで乾燥させ流体中の水の量とした。研磨した実験生成物をラマン分光分析装置と電界放出型走査電子顕微鏡で観察した。出発物質が反応し残ることがあるほか、出発物質のカンラン石に鉄が含まれるためマグネサイトとタルクが共存する以外は、MgO-SiO2-H2O-CO2系での先行研究と整合的である。カンラン石とディオプサイド、蛇紋石とディオプサイドの系では複数の反応を確認した。 3. リュウグウ試料の観察 リュウグウ試料の初期分析において観察を行った。リュウグウの岩石試料は蛇紋石と粘土鉱物と炭素質物質からなるマトリックスに炭酸塩鉱物が囲まれている。これは私たちが研究する蛇紋岩中の炭酸塩鉱物と同じであった。流体包有物、炭素質物質の探査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
天然の岩石記載、高温高圧実験結果、熱力学計算を実施することで、沈み込み帯の蛇紋岩化作用と炭酸塩岩化作用をよりよく理解することができる基盤を整えることができる状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は天然の岩石を記載し、沈み込むプレートからの流体の塩濃度と温度の関係を研究した。2022年度は高温高圧実験を実施することで、流体とマントルの岩石の反応を理解することができた。これまでに、論文を投稿できていない点は残念であるが、公刊するのに十分なデータを持ち考察のレベルも高いと考える。投稿に向け鋭意努力する。2023年度は、実験結果と熱力学計算を比較することで、二酸化炭素の分圧の検討を行う予定である。その結果、沈み込み帯の蛇紋岩化作用と炭酸塩岩化作用をよりよく理解することができる。
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Research Products
(6 results)