2021 Fiscal Year Annual Research Report
流砂系の科学的モニタリングに基づく里山・里海総合保全学の創成
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21H01440
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 愼司 高知工科大学, システム工学群, 教授 (90170753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 方隆 高知工科大学, システム工学群, 教授 (50251468)
村井 亮介 高知工科大学, 地域連携機構, 助手 (70773810)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 流砂系の保全 / 里山環境 / 里海環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は,海岸・河川の地形データ分析,衛星画像分析による流砂環境の変遷分析,森林の健全度評価指標と計測手法の開発を実施した.いずれも土砂問題の解決が重要である物部川流砂系を中心に研究を進めた.海岸・河川の地形分析については,海岸の総土砂量が毎年10万立方メートルのオーダーで減少していることや,ダムや堰の下流部では河床高さが低下していること,貯水池では堆砂が深刻であることを確認した.物部川下流部の香長平野の扇状地に堆積している土砂量から物部川の土砂供給ポテンシャルを推定したところ,貯水池堆砂や海岸での侵食量と同程度であることを確認した. 中山間地の流砂系環境の変遷については,衛星画像や航空写真などから山地の開発状況を追跡した.その結果,物部川流域では,特に中心集落である大栃付近で1960年頃に集中的な山林開発が行われたことが明らかとなった.また,山林の開発はその後急速に減退したため,放棄された森林が増加していることも明らかとなった.これらの人為要因により,中山間地からの土砂供給が増加しているものと思料された. 森林の健全度評価に関しては,構成の異なる森林観測エリアを新設し,森林域の調査を集中的に実施した.林床と樹冠の観測データから森林構造を解析する手法を確立した.またUAV機体と太陽光源の位置関係を精緻に記述することで,樹林域からの反射光特性を校正し,これにより,観測時の光源による影響を低減した,森林の健全度評価手法の確立に近づいた. 2022年度は,上記の研究成果を活用するとともに,土砂崩壊地における土砂移動に関する現地調査を実施し,流域の土砂供給ポテンシャルをより実証的に検討する予定である.これらにより,流砂系土砂移動の変遷と樹林の活用に基づく流域の環境影響評価について研究を進める予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は,海岸・河川の地形データ分析,衛星画像分析による流砂環境の変遷分析,森林の健全度評価指標と計測手法の開発を実施する予定であったが,いずれも順調に実施することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,流砂系堆積物の分析と樹林の活用に基づく流域の環境影響評価について研究を進める予定である.中山間地でのトレンチ調査については,行政機関により実施予定の調査データを活用できる見込みとなったため,土砂崩壊地における土砂移動に関する現地調査に置き換え,流域の土砂供給ポテンシャルをより実証的に検討する予定である.なお,コロナ禍の状況がさらに深刻化し,現地調査が実施できない場合には,衛星画像の分析に切り替える予定である.
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Research Products
(1 results)