2022 Fiscal Year Annual Research Report
無補強組積造壁の面外損傷を考慮したRC架構の地震時応答と安全性評価手法の高度化
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21H01473
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中埜 良昭 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10212094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松川 和人 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (50709186)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 無補強組積造壁 / 面外転倒 / 鉄筋コンクリート造 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,2体の無補強組積造壁を含む鉄筋コンクリート架構試験体の振動実験を実施した。2体は途上国に立地する6階建て建築物の6階部分から1フレームを取り出した,ほぼ実大の架構である。パラメータは事前に静的に与えた面内変形の最大経験層間変形角であり,試験体1は1.0%,試験体2は0.4%の面内変形を与えてから振動台へ移動させ,加振を行った。入力地震動は,当該国における設計用応答スペクトルに合致し,Imperial Valley地震(1979年)の位相特性を有するものをまず作成した。それを6層解析モデルに入力し,5階床位置の加速度応答時刻歴波形を100%入力時の加振波形とした。振動台実験では,正弦波掃引加振,10%,30%,50%,75%,100%,125%,150%(1回目),150%(2回目),150%(3回目)の順番で組積造壁が面外転倒するまで加振を行った。 面内損傷1.0%を与えた試験体1は,100%の入力まで壁体は面外転倒しなかったが,125%の入力時に面外転倒を生じた。面内損傷0.4%を与えた試験体2は,150%の2回目で面外転倒を生じた。両試験体とも,壁体の上半分が面外転倒した。面外方向のフレームの最大応答層間変形角はそれぞれおよそ4%,5%であった。壁体の挙動は,面外転倒を生じた加振時以外は高さ方向に線形の変形挙動を示し,面外転倒を生じた加振時には「く」の字型に折れ曲がるような挙動を示した。また,壁頂部と梁下端の面外水平変形の差は,試験体1では75%程度の入力時から,試験体2では125%程度の入力時から大きくなりはじめ,その後の加振で面外転倒に至った。 加えて,2022年度には上記のような挙動を再現できる解析モデルの構築を2021年度から継続的に進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2体の無補強組積造壁を有する鉄筋コンクリート造架構試験体の加振実験まで完了できたため。また解析モデルについてもその構築を進めてきたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度にはもう1体の無補強組積造壁を有する鉄筋コンクリート造架構試験体の加振実験を実施し,開発した解析モデルの適用性を検討する。2022年度の結果を踏まえ,2023年度には面内損傷を事前に与えない試験体の面外加振実験を実施する。また,2022年度の結果から壁頂部と梁下端の間の水平変形の差が大きくなり始めることが壁体の面外転倒の兆候であると推察されたため,2023年度の実験では当該部を接写するカメラを設置し,現象の把握に努める予定である。
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