2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of higher seismic and fire-resistant timber slender frame structure using eco-friendly and sustainable materials
Project/Area Number |
21H01481
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
谷口 与史也 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (30254387)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Sanjay PAREEK 日本大学, 工学部, 教授 (20287593)
荒木 慶一 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50324653)
石山 央樹 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90634436)
鈴木 裕介 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90635400)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 木質構造 / 低環境負荷 / 高耐震 / 高耐火 / ジオポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、低環境負荷型かつ持続可能型材料を用いた新しい高耐震(安全性と修復性)・高耐火木質構造システムの開発し,実験による当架構の各種性能の明確化と評価法の確立を目指す。2021年度は、主に、高耐震高耐火木質複合部材の設計施工法整備のための構造性能及び耐火性能評価実験を実施した。 ・構造性能評価実験:木材表面に凹凸加工を施しジオポリマーとの一体性向上を図った試験体を製作し静的曲げ載荷実験を実施した。具体的な実験パラメータは、ジオポリマーの被覆厚、木材表面の凹凸加工における溝のピッチや形状である。ジオポリマー被覆の有無や被覆厚の違いによる(曲げ耐力や曲げ剛性などの)補強効果、木材表面の凹凸加工の有無や違いによる両材の一体性について検討するため実験データを整理した。その結果、ジオポリマーの補強による木部材の曲げ耐力及び剛性向上効果が明確には見られなかった。破壊性状についても実験パラメータ間の大きな違いはなく、ジオポリマーと木材が一体となったまま曲げ変形し、最終破壊に至った。これは、ジオポリマーの硬化過程時において乾燥収縮による微細ひび割れが発生していたため、載荷時においてこの微細ひび割れが閉塞しながら変形が生じていたと推察される。以上から、ジオポリマーと木材は部分的に両行に接着していたものの、想定した補強効果が得られなかったと考えられる。 ・耐火性能評価試験:縮小試験体を用いて、木材表面のジオポリマーの被覆の有無や被覆厚、加熱温度及び時間を実験パラメータとした燃焼試験を実施した。ジオポリマーで被覆した試験体は、無補強に対し、木材表面の炭化が抑えられる傾向が見られたが、目標とした耐火または準耐火構造に適用できる成果は得られなかった。構造性能評価実験で見られたように、ジオポリマーの微細ひび割れが影響し、内部の木材の発熱速度や発熱量を制御することが困難であったためと考察した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ジオポリマーで被覆した木質複合部材の曲げ載荷試験及び燃焼試験の結果、想定した効果が発揮されなかった。その理由と考察したジオポリマーに生じていた微細ひび割れを制御するための追加検討が必須となったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
木質複合部材の被覆材であるジオポリマーの硬化過程に生じる可能性がある乾燥収縮ひび割れの制御について検討する。具体的には、調合時において、バインダー(主にはフライアッシュ)の質量に対する収縮低減剤や高性能AE減水剤の添加量をパラメータとした調合試験を実施し、複合部材に適する調合設計法を整備する。次に、改善した調合で作成したジオポリマーを用いて、木質複合部材を製作し、2021年度と同様の曲げ載荷試験及び燃焼試験から構造性能と耐火性能を評価する。
|