2022 Fiscal Year Annual Research Report
故障しにくく尚且つ故障後も安全を確保できる太陽光発電システムの安全技術開発
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21H01580
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
濱田 俊之 大阪電気通信大学, 工学部, 准教授 (20733695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桶 真一郎 津山工業高等専門学校, 総合理工学科, 教授 (20362329)
石倉 規雄 米子工業高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (20713936)
南野 郁夫 宇部工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (40647723)
藤井 雅之 大島商船高等専門学校, 電子機械工学科, 教授 (70270337)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 太陽光発電システム(PVS) / バイパスダイオード(BPD) / 安全 / 火災 / 故障 / ラピッドシャットダウン(RSD) |
Outline of Annual Research Achievements |
[大阪電通大・濱田]PVモジュールのBPDが故障した時の焼損リスクを検証した結果、負荷運転中・無負荷時の試験から0.1-10Ω程度でBPDが故障すると焼損リスクが高くなることが分かった。この焼損リスクはPVモジュールの出力が変わっても大きくは変わらないことを確認した。BPDにバイパス電流が通電した際の耐久性は現在最長1600hを超え、Siショットキーバリアが耐久面で優位であるが、適切な放熱対策を行うことでPNダイオードやSiCダイオードも十分な耐久性が得られる。ラピッドシャットダウンの開発では、高温検知により動作可能なシステムの開発に成功した。 [米子・石倉]シミュレーション上で構築したPVSの動作データを用いてロジスティクス回帰で故障検出が可能であることを明らかにした。さらに、この回帰モデル構築のためには1日約10000点の実測データが必要であった。 [大島・藤井]クラスタ脱落したPVSの調査を行い、修繕復旧可能か明らかにした。また、修繕したPVモジュールの経年劣化について調査し,経年劣化や故障したPVSのリユースの可能性について検討した。 [宇部・南野]PCSの動作をMATLAB/SimulinkによりBPD開放故障を抱え運転するPVSのVmpとImpを予測した。予測値と市販PCSの動作値を比較し、よく再現できることを確認した。また、宇宙用太陽電池の熱暴走のメカニズムの特にスポット径収縮と停止のメカニズムを明らかにし、温度予測値の計算モデルを提案することができた。 [津山・桶]PVアレイの表面に部分影が生じた場合の動作点の移動履歴に基づき,PVアレイに含まれる短絡故障したBPDの検出法を提案した。フィールド実験から,PVモジュール上に部分影が生じると,PVアレイの動作点(最大電力点電流)の特徴的な変化からBPD短絡を検知できることが分かり、提案手法の有効性を証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定とおり、BPDの危険性の検証と耐久性評価は順調に進めている。感電事故防止システム開発は予定を1年前倒しして目標を達成した。また、当初の予定にはなかった故障診断技術の開発も立上げることができ、成果も得られている。本年度は、さらに既存のラピッドシャットダウン(製品)の不具合に関する研究にも展開する。 以上、本研究課題は概ね予定とおり進捗しているだけでなく、新たな太陽光発電の安全研究テーマの立ち上げも展開している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、BPDの長期耐久性の評価を継続するとともに、様々なシステム条件下でのBPD故障リスクを検証する。太陽光発電システムの故障診断は故障モデル化に関する成果をまとめるとともに、実機PVSのデータを用いて故障診断可能か明らかにする。 また、新たな研究テーマとして、製品化されたラピッドシャットダウンの故障・焼損事例の情報を得ている。前述原因の解明と故障対策について検討を今後行う。 今後も、太陽光発電システムの安全性に関する動向を注視・現地調査などを継続して、総合的な太陽光発電の安全研究を展開するとともに、再生可能エネルギーの安全研究を1つの学問領域に発展させることを目指して研究を進めたい。
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