2021 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of regional peculiarities focusing on external forces and boundary conditions that cause widespread shallow landslides
Project/Area Number |
21H01581
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
厚井 高志 北海道大学, 広域複合災害研究センター, 准教授 (40845294)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 紀文 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (00323478)
吉本 充宏 山梨県富士山科学研究所, その他部局等, 研究員 (20334287)
執印 康裕 九州大学, 農学研究院, 教授 (60221305)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 地震 / 大面積表層崩壊 / テフラ / 層序 / 岩屑なだれ / 降下火砕物 / 地すべり / 等降灰厚線図 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は関連資料の収集,観測機器の取得を進めるとともに,過去に発生した大面積崩壊の発生地域においてすべり面を確認するための現地調査を開始した。わが国で過去に発生した噴火の特徴や噴火年代,火山噴出物の飛散範囲を把握する資料として,Volcanoes of the World(University of California Press),火山灰アトラス(東京大学出版会)といった資料を入手した。また,斜面安定解析実施にあたり必要となるパラメータを設定するため,露頭がなくても非破壊で難透水層を想定できるSoil Moisture Probe (SMP),地形条件の把握のために実施するUAV-SfM実施にあたって必要な機材であるGNSS測量機器を取得した。 今年度の現地調査は,1923年の関東地震で大面積で表層崩壊が発生した神奈川県西丹沢地域中川川流域および世附川流域で実施した。調査実施に先立ち,神奈川県から当時の崩壊地分布に係る資料の提供をうけ,対象範囲全域の崩壊地分布と国土交通省が公表する標高区分や表層地質区分をGIS上で一元的に整理した。現地調査は本研究プロジェクトに参画する研究者全員で実施した。富士山東麓から東方にかけてテフラおよび東麓に分布する岩屑なだれ堆積物の野外調査を行い,形状解析によるテフラの同定,放射性炭素年代測定を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画時に予定していた収集資料や取得すべき観測機器について入手することができた。特に丹沢地域については神奈川県から必要な資料,崩壊地分布などの現地情報の提供を受けることができたため,現地調査に円滑に実施する準備を進めることができた。一方,観測機器のうち海外製品についてはコロナウイルス感染症の世界的な拡大に伴う物流の停滞の影響を受け,納期が大幅に遅れる結果となった。さらに,前述の観測機器入手の遅れに加え,現地調査の実施に当たってもコロナウイルス感染症流行に伴う国内移動制限の影響を受けて現地調査の開始が遅れた。
|
Strategy for Future Research Activity |
地震により過去に大面積表層崩壊が発生した火山地域で現地調査を継続して実施する。現地調査は,1923年関東地震(富士山噴火の影響範囲),1984年長野県西部地震(同御嶽山),2016年熊本地震(同阿蘇山),2018年北海道胆振東部地震(同恵庭岳,樽前山)に関連する4地域で実施を予定する。現地観測では,GNSS観測およびUAV(ドローン)を用いた地形計測等を行って,大規模表層崩壊発生域の斜面の地形的特徴(崩壊地の状況,起伏度,斜面勾配など)を把握する。地形計測は国土地理院が提供する国土数値情報のほか,特に大規模表層崩壊の発生域においてはUAV撮影で取得する写真画像からSfM(多視点ステレオ写真測量)によって作成した精緻な地表標高モデル(DSM)を用いて地形情報を整理する。さらに,土層構造調査を実施して土壌水分の鉛直分布を縦断的に把握することにより,集水性の高い領域や難透水層を想定し,土層厚(すべり面深度)を決定する。土壌断面の直接的な調査が難しい地域では,露頭がなくても非破壊で難透水層を想定できるSoil Moisture Probe(SMP)を用いて,土壌水分の鉛直分布を計測してすべり面深度を設定を試みる。加えて,斜面安定解析実施のため,土砂サンプルを複数箇所で採取して土の強さに関係する粘着力C,内部摩擦角φ,単位体積重量を分析する。また,すべり面の形成に関与すると考えられる噴火イベントを既往資料等を参考に抽出し,GIS上で取り扱える形式に整理する。
|
Research Products
(7 results)