2021 Fiscal Year Annual Research Report
High-Speed-AFM Analysis of Structural and Mechanical Properties of Single Protein under Mechanical Stimulation
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21H01772
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
内橋 貴之 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30326300)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高速原子間力顕微鏡 / 微小管 / キネシン / 動態解析 / 機械ストレス / 一軸伸長機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はタンパク質に引っ張りや圧縮などの機械的ストレスを印加するために基板伸縮機構を有する高速AFMの開発を行った。従来のサンプル走査型高速AFMでは試料のサイズが限定されることから、基板伸縮機構等の試料操作機構を組み込むことは不可能であった。そこで、試料サイズの自由度が高く、基板伸縮機構のための空間確保が可能なプローブ走査型高速AFMを新たに開発した。この装置の試料ステージに弾性基板を両端からステッピングモーターで引張/圧縮が可能な一軸伸長機構を組み込んだ。開発したプローブ走査型高速AFMで、GroELやアクチンフィラメント、アクチニンによるアクチンフィラメントの架橋構造の観察を行うことができ、本装置がタンパク質の構造破壊や機能を阻害することなくイメージングできることを確認できた。 次に弾性体であるPDMS基板への微小管の固定方法を検討した。キネシン-1の疎水的部位であるカーゴ結合サイトを疎水性PDMS表面に疎水性相互作用により結合させ、そこに微小管を導入することで、キネシン-1の微小管結合サイトに微小管を結合させた。さらに、0.01%のグルタルアルデヒドでアミノ基架橋を行うことでキネシン-1と微小管を強固に結合させ、ATP存在下でも微小管がスライディング運動しないようにした。さらにPDMS基板とキネシン-1との非特異吸着を防ぐためにカゼインをブロッキング剤として使った。基板伸縮機構によってキネシン修飾PDMS基板を伸長した後、微小管を表面に固定して、伸長状態を解放することで微小管に圧縮力を加えた。自然長の状態では比較的直線の構造を持つ微小管が観察され、約14%圧縮すると複数箇所で屈曲した微小管が観察されるようになった。さらに圧縮すると、微小管の座屈による破断も観察され、微小管を構造的な限界まで屈曲させる事が出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一軸伸長機構付きのプローブ走査型高速AFMを開発し、アクチニンによるアクチンフィラメントの架橋構造の観察を行うことができ、本装置がタンパク質の構造破壊や機能を阻害することなくイメージングできることを確認できたこと。また、弾性PDMS基板に微小管を固定して一軸伸長機構によって微小管の屈曲を制御できたことから、計画通りに研究が進捗していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
微小管の屈曲制御とキネシンの滑走運動の観察と解析:開発した一軸伸長機構付き高速AFMを用いて基板伸縮により微小管の屈曲を連続的に制御することで、キネシンの滑走運動に及ぼす影響を詳細に解析することで、微小管のメカノセンサー機能に関する包括的な理解を得る。 アクチン線維ネットワークの力学操作とアクチン結合タンパク質の親和性変化の解析:弾性シート基板表面にビオチン化脂質を含んだ平面脂質二重膜を展開し、一部ビオチン化したアクチン線維をストレプトアビジン分子を介して脂質膜に固定する。アクチンストレスファイバーを模すために、α-アクチニンによるアクチン線維の架橋とバンドル化を行い基板に固定する。溶液中にはコフィリンあるいはミオシンIIのアクチン結合部位であるS1部を入れておく。弾性基板の引張でアクチンネットワークに力学負荷をかけながら、アクチン線維の構造変化(らせんピッチとG-アクチンの間隔)とコフィリンおよびS1の結合・解離を観察し、アクチン線維の局所構造の張力依存的変化と結合タンパク質の親和性変化の相関を明らかにする。
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[Journal Article] Desiccation-induced fibrous condensation of CAHS protein from an anhydrobiotic tardigrade2021
Author(s)
Maho Yagi-Utsumi, Kazuhiro Aoki, Hiroki Watanabe, Chihong Song, Seiji Nishimura, Tadashi Satoh, Saeko Yanaka, Christian Ganser, Sae Tanaka, Vincent Schnapka, Ean Wai Goh, Yuji Furutani, Kazuyoshi Murata, Takayuki Uchihashi, Kazuharu Arakawa and Koichi Kato
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 11
Pages: 21328
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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