2021 Fiscal Year Annual Research Report
Multireference electronic structure theory used for computing rate constants of nonradiative decay and proton transfer reactions
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21H01881
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柳井 毅 名古屋大学, 理学研究科(WPI), 教授 (00462200)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多参照理論 / 失活速度定数 / 密度行列くりこみ群 |
Outline of Annual Research Achievements |
多状態多参照DMRG-XMS-CASPT2計算の解析的エネルギー核座標微分と非断熱結合定数の計算プログラムの確立に向けた理論開発を進めた。定式化をすすめ,検証用のプログラムを作成しながら,定式の妥当性を確認を行っている。現在は既存の計算方法で計算できる分子について,状態平均CASSCF計算プログラムを用いて,解析的微分の計算を行い,テストデータを構築している。テスト計算ではその再現が目指される。また,数値微分による計算を行い,解析的微分として整合性が取れた理論となっているか検証を行っている。 失活過程の速度定数を定量的に見積もるための手法の実装に関する研究を行った。本理論手法を用いた実験研究者との共同研究を実施した。実験研究者らにより最近ポルフィリン骨格に部分的に硫黄原子や酸素原子に置換した分子を合成された。本研究では,置換効果による蛍光量子収率の違いを理論計算から明らかにすることができた。計算では,置換ポルフィリン分子それぞれに対して基底状態および光励起状態の電子状態計算を行い,その計算から得られた電子状態の情報から,本速度定数シュミレーションから輻射及び無輻射失活の速度定数を見積もった。その速度定数のシミュレーション結果から,実験で観測された蛍光量子収率の置換効果を確認することができた。電子状態計算を詳細に解析することにより,低周波数の振動モードによる寄与の有無が置換効果にあらわれていることを突き止めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析的微分の定式化およびテスト計算を実施できている段階にある。失活過程の速度定数を計算する実装が実施され,共同研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
解析的微分の定式化およびプログラムの完成を目指す。微分コードの一部として非断熱結合(NAC)定数のプログラムも実装される。DMRG- SA-CASSCFの微分コードが完成したのち,二次摂動に よる電子相関補正XMS-CASPT2計算法へと繋げる。従来型XMS-CASPT2計算コードのプロトタ イプ実装(ShiozakiらJCP 2015)は,塩崎との共同研究 により確立している。 速度定数の計算法について新しい拡張を行う。
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Research Products
(10 results)