2022 Fiscal Year Annual Research Report
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21H02142
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
山崎 正夫 宮崎大学, 農学部, 教授 (80381060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲斐 久博 九州保健福祉大学, 薬学部, 准教授 (60533221)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 低酸素 / 脂肪細胞 / 細胞内代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
共役脂肪酸による脂肪細胞における低酸素ストレス緩和作用を明らかとするため、種々の低酸素ストレス強度における脂肪細胞の代謝変化を解析するとともに、共役脂肪酸の低酸素ストレス緩和作用をアディポカインの産生を指標に解析した。低酸素ストレスと解糖系への代謝変化を推定するため、乳酸の産生量を解析したところ、20%酸素と比較して、5, 2.5, 1%酸素条件においては脂肪細胞に分化成熟した3T3-L1細胞の乳酸産生が有意に増加した。また、そのピークは2.5%酸素濃度条件における培養時に確認された。一方で、アディポネクチン産生は低酸素条件で低下するものの、そのピークは10%酸素濃度条件であった。また、種々の酸素濃度条件で細胞内代謝物を直接試料導入電子衝撃イオン化質量分析法(DI-EI-MS)で解析し、代謝物の存在パターンをPCA解析によって評価した。その結果1%と20%酸素濃度条件下では明確なパターンの違いが確認できた。本手法では代謝物の同定には至っていないが、このパターンの違いに貢献度の高い代謝物のm/z値を確認することができた。一方で、1, 2.5, 5, 10 ,20%酸素濃度で評価した際には明確な濃度依存的なパターンは確認できなかった。このことから、脂肪細胞は低酸素強度の違いによって、細胞の機能変化のパターンが異なることが示唆された。また、共役リノール酸の効果を1%酸素濃度で検証したところ、アディポネクチンの産生亢進作用を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞内酸素の解析に関する項目がやや遅れている。細胞内代謝物の解析については当初の予定以上に実施できており、低酸素条件での代謝変化を示すことができている。また、当初最終年に計画していた動物試験に関する内容が既に完了している部分もあり、総合的には概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞内酸素の動態解析が最大の課題である。酸素消費の測定は可能となったが、ランニングコストの関係から酸素プローブを変更することで効率的な実験手法に変更したい。また、多変量解析を用いた代謝物解析では低酸素下での代謝パターンの変化を共役脂肪酸存在下で解析することにより、共役脂肪酸の低酸素ストレス緩和作用を代謝的アプローチから評価する。動物実験においては共役リノール酸の摂取によって変化の認められた代謝物の脂肪細胞機能に与える影響を解析し、共役リノール酸の抗肥満作用を説明できる代謝物の特定を目指したい。
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Research Products
(2 results)