2021 Fiscal Year Annual Research Report
負の情動改善を伴う我が国に適した採卵鶏飼育法の構築
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21H02346
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古瀬 充宏 九州大学, 農学研究院, 教授 (30209176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊後 貴嗣 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (40325361)
村井 篤嗣 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10313975)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 平飼い / ケージ飼い / 青色LED / 白熱灯 / 行動 / IgY / 遊離アミノ酸 / 卵黄 |
Outline of Annual Research Achievements |
単飼ケージ(920 cm2/羽)と群飼平飼い(1600 cm2/羽)への光源(狭波長青色LEDと白熱灯、いずれも平均30 Lx)の影響を、白色レグホーン系産卵鶏(ジュリアライト)23週齢を用いて、行動、卵生産、免疫および栄養状態ついて、16L8D(0500点灯、2100消灯)、自由摂食・自由飲水の条件で調査した。 行動は、光源にかかわらず平飼いで「腹臥」が期待値よりも多く、「摂食」が少なかった。「床啄き」は、白熱灯/平飼いでの割合が多く、“LED/平飼い”で少なかった。飼料摂取量と卵飼比(飼料摂取量÷卵重)ではいずれも平飼いの方が多かった。血漿ASTとALT濃度は平飼いで高くFFAが低かった。テストステロン濃度は、LEDで低く、平飼いで高くなった。 血液中のIgY濃度は、LEDで増加傾向にあった。卵黄中のIgY濃度には明確な差が見られ、ケージ飼いでは、白熱灯よりもLEDで約1.8倍に増加した。よって、青色LED照明は、IgYの産生あるいはその体内動態に影響を及ぼす可能性が示唆された。また、卵黄中のIgY濃度は日内変動の影響を受けにくく、測定値が安定することが判明した。回腸での糖タンパク質ムチンの遺伝子発現量も、白熱灯に比べてLEDで有意に増加した。胆汁中のIgA濃度(腸管内へのIgA分泌量の指標)は、ケージ飼いで減少した。 ストレス負荷により幼雛の血漿遊離アミノ酸の多くが低下することが認められていた。平飼いではケージ飼いに比べ調査した遊離アミノ酸のうち8種で低下し、LEDの効果は顕著ではなかった。卵黄は7から9日かけて、また、卵白はおよそ一日で形成されるため、それぞれの遊離アミノ酸を非侵襲の長期ならびに短期的なストレス指標として調査した。卵白に実験処理の影響は多く認められず、卵黄では平飼いで6種の遊離アミノ酸が、また、LEDにより10種の遊離アミノ酸が減少した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の感染拡大により、動物実験を行うことが容易ではなかったものの概ね予定通りに初年度の研究を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
飼育環境の影響に暑熱ストレス負荷が加わった際の反応を当初の計画通り調査する予定である。 初年度に動物実験を実施した研究分担者の豊後の所属機関が変更されたため、実験開始が遅れる可能性がある。
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