2022 Fiscal Year Annual Research Report
負の情動改善を伴う我が国に適した採卵鶏飼育法の構築
Project/Area Number |
21H02346
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古瀬 充宏 九州大学, 農学研究院, 学術特任教員 (30209176)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村井 篤嗣 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (10313975)
豊後 貴嗣 岡山理科大学, 獣医学部, 教授 (40325361)
安尾 しのぶ 九州大学, 農学研究院, 教授 (30574719)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 平飼い / ケージ飼い / コルチコステロン / 暑熱ストレス / 行動 / IgY / 遊離アミノ酸 / 卵黄 |
Outline of Annual Research Achievements |
試験後半の数日間、台風のため気温は低下したが、それまでは日平均気温は上臨界温度を超えていた。産卵数・産卵総重量ともに、ケージ区が平飼区を上回った。一方、飼料摂取量は、平飼区で高く、飼料効率が悪いことが示された。 行動型については、試験開始時ではケージ区より平飼区で「佇立」の割合が若干多かったものの、各行動の割合に大きな違いは示されなかった。しかし、試験最終日では、「腹臥」において両区間で違いが示された。これについて詳細な記録はとってないものの、数羽の上位個体が最劣位個体を頻繁に攻撃していることが見られ、それに伴って、歩行が増加したことが原因と考えられた。試験開始日は昼間の高温により行動の主な目的が生命維持に注がれたため行動割合に両区間で大きな違いはなかったが、最終日の比較的過ごしやすい気温では、自己よりも他に注意が払われた結果と推察される。 試験開始前と試験終了時に採取した卵から卵黄抽出物を得て、卵黄中のコルチコステロン濃度を測定した。試験開始前には、ケージ区と平飼区でコルチコステロン濃度に差は見られなかったが、暑熱暴露後の試験終了時には、ケージ区よりも平飼区のコルチコステロン濃度が約1.5倍高くなった。血液中のIgY濃度は、試験前と試験後の何れにおいても、ケージ群と平飼い群で差は見られなかった。 肝臓で生産された卵黄物質が血流を通して7~12日間かけて卵胞に蓄積する事実から、卵黄の遊離アミノ酸濃度変化を長期的なストレス指標と捉え評価した。ケージ区と平飼区の間で全ての遊離アミノ酸濃度に有意な差は認められなかった。一方、両飼育環境共に暑熱ストレス負荷により遊離アミノ酸濃度は減少し、特にオルニチン、アラニン、プロリン、メチオニン、トリプトファン、アルギニンの順で著しかった。暑熱ストレスに対応するために夏季にはこれらのアミノ酸給与量を高める必要性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物実験を担当する研究分担者が、機関を移動したために実験開始に時間を要した。また、実験の規模を縮小せざるを得なかった。しかし、平飼いとケージ飼いの環境下で暑熱ストレスの影響を調査することが最終的にできたため、おおむね順調に進展したと判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2年間の研究成果を踏まえると、我が国が用いているケージ飼いの様式は、一般的思われていることと異なり、平飼いとの間にニワトリの生理状態に大きな違いが認められないか、むしろ良い状況を示す結果となった。そこで、これまで用いてきたケージに脚置き台、爪研ぎや突く目標を配置することで、生理状態の改善が見られるかを確認する。
|
Research Products
(3 results)