2021 Fiscal Year Annual Research Report
管状リソソームネットワークの形成メカニズムと機能の解明
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21H02473
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤田 尚信 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (00506496)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リソソーム / 管状化 / 筋細胞 / ショウジョウバエ |
Outline of Annual Research Achievements |
リソソームは球状のオルガネラであるが、特定の条件下では形態を変化させることが知られている。しかしながら、そのメカニズムや機能はこれまで十分に明らかにされていない。私たちは、ショウジョウバエの変態期に腹部の筋細胞に管状のリソソームネットワークが形成されることを見出した。本研究では、ショウジョウバエの遺伝学やトランスクリプトーム解析などを駆使し、筋細胞に見られる管状リソソームネットワークの形成メカニズムとその生物学的意義の解明を目指している。 リソソームの管状化に働く遺伝子を選別するため、管状リソソームネットワークが形成される腹部筋細胞の経時的なトランスクリプトーム解析を実施し、筋細胞リモデリングに伴う遺伝子の発現変動を明らかにした。それらの中から、管状リソソームネットワークが形成されるタイミングに発現の高いものを選別し、in vivo RNAiスクリーニングに供した。その結果、ノックダウンすることにより、管状リソソームの形成を抑える複数の遺伝子を新たに同定することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
私たちは、ショウジョウバエ変態期に腹部筋細胞がリモデリングされる際に管状のリソソームネットワークが筋細胞内に張り巡らされる現象を先に見出した。そのメカニズムを明らかにすべく、本年度は、目的の腹部筋細胞を単離し、筋リモデリングに伴う遺伝子の発現変動を網羅的に明らかにした。管状リソソームが形成される蛹化後1日目付近に発現の高い遺伝子群の中から、候補遺伝子を選別した。それらの遺伝子群を、蛍光タンパク質を付加したSpinsterをリソソームマーカーとしたin vivo RNAiスクリーニングに供し、管状リソソームの形成に必要な候補遺伝子を複数同定することに成功した。また、HAエピトープに対する一本鎖抗体に蛍光タンパク質を付加して筋細胞特異的に発現させることにより、HAタグ付きのタンパク質の局在を生体内で観察可能なシステムを開発した。このシステムとショウジョウバエに整備されているHAタグ付きのORFライブラリーを組み合わせることにより、管状リソソームの形成に関わると考えられる候補タンパク質の細胞内局在を網羅的に検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
筋細胞に見られる管状リソソームネットワークの形成には、オートファジー能が必要であることを先に見出している。そこで今後は、野生型に加えて、オートファジー不全変異体でも筋細胞リモデリングの経時的なトランスクリプトーム解析も実施する予定である。野生型とオートファジー不全系統のトランスクリプトームを比較解析することにより、管状リソソームの形成に関わる可能性のある遺伝子をさらに選別し、in vivo RNAiスクリーニングに供して候補遺伝子をさらに同定する。また、前年度までに同定したリソソームの管状化に関わる遺伝子の機能解析も実施する。
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